『オデッセイ』映画の配信先からネタバレ感想・評価&あらすじ・キャストまでレビュー

スリラー・SF・アクション

映画『オデッセイ』は、火星探索中にトラブルでただひとり火星に残されてしまった宇宙飛行士の、生き残りと生還をかけた物語です。

監督は『エイリアン』『ブレードランナー』や『テルマ&ルイーズ』『グラディエーター』を手がけたリドリー・スコット。主役をマット・デイモンが演じます。




原題のMartianは直訳すると「火星人」です。といっても火星人が出てくるわけではなく、火星に置き去りにされた主人公を暗喩してのタイトルです。

邦題となった『オデッセイ』は、古代ギリシャの詩人ホメーロスの書いた「オデッセイア」にヒント得てつけたタイトルですね。

叙事詩オデッセイアはトロイア戦争から名将オデュッセウスが10年の歳月をかけて、数々の苦難を乗り越えて故郷に帰るまでの物語です。

うまい邦題をつけたな、と思います。

他のSFとはひと味違う映画『オデッセイ』の感想と見どころをレビューします。




『オデッセイ』どこで見れる?

まずは、配信先から。以下サービスで配信、レンタルできます。

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『オデッセイ』感想です

『オデッセイ』は火星のロビンソン・クルーソーだ

ぼくが一言でこの映画を何かに例えて表現するなら、それは火星に舞台を置き換えた「ロビンソン・クルーソー」だ。この一言につきます。

ぼくは子供の頃、デフォーの冒険小説「ロビンソン・クルーソー」が大好きでした。何度も繰り返し読んだ、子供時代の愛読書と言っても良い一冊です。

『オデッセイ』で主人公マークは大嵐で飛ばされ、大怪我を負いつつ火星上にただ一人取り残されます。からくも無事だった基地に戻り、怪我をひとりで治して、彼が持つ知恵をフルに使ってサバイバルが始まります。

他の空想SF映画と決定的に違うところは、映画の柱=テーマが「逆境を生き残るためには何をすれば良いのか?」という点にあります。

『オデッセイ』において、火星地表の再現や大嵐、クルーの乗った探査船の特撮描写は今ドキの映像技術でごくごく当たり前に表現され(作業は大変だと思うけど)、VFXに驚くことも特にありません。

すでに、映画ではなんでもかんでもCG再現できるとなって久しいです。ですから、特撮に感動しなくなったことは、時代の移り変わりさえ感じます。

ところが、この映画にぼくはぐいぐい引き込まれました。

その理由はなぜだったのでしょう?

それは、映画『オデッセイ』のストーリーに、昔からある、物語の大黒柱がどっしりと立てられているからです。

どんな柱か?というと、「困難を解決する」という大黒柱です。

平たくいうと「死ぬもんか。知恵と工夫で乗り切ってやる」「なんとしても助けてやる」スピリッツです。

名作文学、特に冒険小説にはそんな正道ストーリーが多いです。

ぼくが『オデッセイ』をみはじめてすぐに思い出した『ロビンソン・クルーソー』はまさにそんな物語の代表格の一作と言っても良いでしょう。

『ロビンソン・クルーソー』の舞台は大航海時代です。どんな物語かというと、船乗りロビンソンが、帆船の難破で絶海の孤島に取り残されます。

何もない離れ小島でロビンソンは人間らしい暮らしをするために、知恵を使い、さまざまな工夫で乗り切ります。

一方、『オデッセイ』の舞台は近未来ですし、基地が残されていた…とはいえ、『ロビンソン・クルーソー』と『オデッセイ』2つの物語に共通してまたがっているのは、主人公の絶望感です。

孤島に流れ着いたロビンソンも、火星に取り残されたマークも同じ心の内だったはずです。そう、ぼくは思うのです。




サバイバルに挑めるのは彼が植物学者だから?

「マークがサバイバルできたのは、植物学者だったからだ」という声も聞こえそうです。

でも、はたしてそうでしょうか?

その反論はあまりにも短絡的すぎると、ぼくは思います。

マークが生き抜くためにやったことは、「四年後、食料が尽きるまでのことを、とことん緻密にかんがえる」ことでした。

科学を武器にはしましたが、彼のやったことは「実験」を繰り返すことでした。

他の宇宙飛行士が取り残されて生き残ろうとしたならば、べつの方法を考え出して生き残りをはかったのではないでしょうか?

「知識」と「知恵」は違います。

科学知識を山ほどもっていたとしても、「知識」を「知恵」として活かすことができなければ本末転倒、知識だけ並べ出したところで本棚の中の百科事典に過ぎません。

マークを救出すべくNASAの職員たちが頭を振り絞りますが、その頭脳の格闘もまさに知恵の出し合い。それはもう感動するほどの「知恵の搾り出しあい」です。しまいには知恵を借りる、貸すために国境さえ消えてゆきます。

『オデッセイ』全編を通して感じたことは、

『大切なのは「知識」じゃない。知識を思いもよらない角度から眺めたことで気づく「知恵」をとことん活かせ』

というメッセージでした。




マークが、絶望から復帰するためにしたあることとは?

人間、状況が崖っぷちの四面楚歌になった時、そのシチュエーションから脱出するに有効な「あること」があります。

それは、なんでしょうか?

フリーランス歴ウン10年、絵の業界で生き残ってきたぼくがいうので、間違いないと思いますが、それは『棚卸し』です。

どん詰まりでもうダメかも、、、と思った時、「自分が今、何をもっているのか?」を、とことん洗い出すのです。

『オデッセイ』でも、主人公マークはまず、基地内の棚卸しをします。

食料は何日分あるのか?パソコンは?資材は?と。

そんなの当たり前!と思うかもしれませんが、人間、崖っぷちの四面楚歌になった時は冷静になんていられません。

『棚卸し』という作業が、一旦気持ちをクールダウンさせるのですね。

ぼくは『オデッセイ』でマークが「棚卸し」を始めた時、「だよね、だよね!」と思っていました。

宇宙飛行士という、一見手が届かないように見えるスペシャリストが、実はぼくらと同じ次元のことをしている、、、それが『オデッセイ』の魅力の一つだと思います。

音楽が粋♪

『オデッセイ』を全編通して貫いているものがもう一つあります。それは、前にもあげたVFXの凄さではなく、ジョークです。それがめっぽうステキです。

「物資が限られた中で工夫しつつ生存を図る」というストーリーですから、脚本を「スリリング&マジメ&ハラハラ」シナリオにもできるはずなんです。

しかしそうはせずに、「時代遅れのディスコミュージック」を活かしつつ(本当に素晴らしく活かしてます!)ニヤリとさせるジョークとユーモアで包む演出で、クライマックスまで進みます。

「監督リドリー・スコットって、コメディのセンスも抜群だったんだ、、、本物のバケモンだなあ」と改めて思いました。

助け舟は…

ネタバレになりますが、救出作戦は途中挫折しかけます。救出船が爆発してしまうのですが、助け舟が現れます。それは中国の宇宙ロケット開発チーム(というか宇宙技術庁みたいな機関)です。

それはそれでアリでしょう。でもこのシーンに、『オデッセイ』制作の裏側にチャイナマネーがチラついたのは、ぼくだけではないと思うなあ…。

良し悪し別に、映画シナリオも世界経済に左右されるのですね〜。

そういえば、ジャパンマネーが強かった1980年代は、日本企業がよくハリウッド映画に登場していましたもんね。(アクション傑作『ダイ・ハード』なんて、日本企業の高層オフィスビルが映画の舞台でした)過去の栄光だなあ、と、遠い目。




『オデッセイ』ぼくの評価は?

色々と感想を書いてきましたが、「人間ってさ、やっていた過去を総ざらいして、放り投げなけりゃ、崖っぷち逆境でもギリギリなんとかなるよね」とガッツリと思わせてくれました。

正直、冒頭の導入あたり、またところどころで「セリフたたみ掛け」でわかりにくいところもありました。

でも、エンドロールが流れたら、「そんなマイナスポイント、どうでもいいよ。明日からまたなんとかなりそうだ」とニンマリしている自分がいました。

ということで、星4つ半です。

あ、個人的にすんごく気に入った役者さんが、NASAの科学者役のショーン・ビーン。何が良かったかって、、、「声」です。

久しぶりに「いい声の役者さんだなあ」と思える俳優でした。(ぼくが過去見た映画では、『トロイ』に出てました。)




『オデッセイ』のあらすじは?

友人探査計画「アレス3」メンバー宇宙飛行士たちは、火星地上を探査中、大嵐に遭遇。一人の宇宙飛行士マーク・ワトニー(マット・デイモン)がトラブルではぐれ、死亡とみなされます。残った飛行士たちは苦痕を残しつつ地球へ戻る旅路につきます。

しかしマークは生きていました。

未知の世界で、限られた資材と頭脳を使って生き残ろうとするマークの孤独な戦い。一方で生存を知ったNASAは、地球上の叡智を集め、不可能とも思える救出計画を進めます。

生存限界の日が迫る中、火星ではマークが、地球ではNASAがそして世界が知恵を絞ります。

はたしてマークは地球へ戻ることができるのか?

地球の科学と知恵を集めた救出オペレーションのクライマックスへ…。

そんなストーリーです。




『オデッセイ』スタッフ・キャスト

監督:リドリー・スコット/脚本:ドリュー・ゴダード/撮影:ダリウス・ウォルスキー/編集:ピエトロ・スカリア/音楽:ハリー・グレッグソン・ウィリアムズ

キャスト‥マット・デイモン/ジェシカ・チャスティン/クリスティン・ウイグ/ショーン・ビーン/マイケル・ペーニャ/ケイトマーラ/セバスチャン・スタン/アクセル・へニー/キゥエテル・イジョフォー他






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