『15時17分、パリ行き』は、アムステルダムからパリにむかうTGV車中で発生したテロに立ち向かった若者たちを描いた実話映画。その若者たち3人が本人役で出演しています。酷評が多い『15時17分、パリ行き』ですが、果たして???監督はクリント・イーストウッド。2018年公開作品。Netflixで配信中の映画をレビューします。
『15時17分、パリ行き』主人公のキャスティングは事件当事者
『15時17分、パリ行き』で驚いたことがあります。3人の主人公が登場するのですが、ドラマの中で、その3人の主人公を『実際本人たちが演じている』ということです。
実話をベースとした映画は多々ありますが、実際の人物が映画の中に「主人公」としてキャスティングされている映画は『15時17分、パリ行き』以外、ぼくは思い当たりません。
(脇役としてなら、9.11のハイジャックテロを描いた実話映画『ユナイテッド93』において、管制官が本人によって演じられています。この映画、良いですよ)
そんな、ある意味チャレンジャーな映画『15時17分、パリ行き』ですが、どんなストーリーなのでしょうか?
『15時17分、パリ行き』あらすじは?
『15時17分、パリ行き』のあらすじを以下に簡単に紹介してみましょう。歴史的事実を映画にしていますので、ネタバレには当たらないと判断し、結末ラストまで書きます。
3人のアメリカ人、スペンサー・ストーン、アンソニー・サデラ、アレック・スカーラトスは子供の頃から近所に住む幼なじみだ。小学生の彼らの学校生活から物語は始まる。
カリフォルニアに育った3人は、それぞれ気質は違えど、一緒に学校に通う仲良し。二人は軍人になり、一人は会社勤め。成長した3人は、久しぶりに3人で羽を伸ばそう、と、ヨーロッパ旅行を計画する。
イタリア、ドイツと旅を続け、ひょんな経緯でアムステルダムへむかう。アムステルダムを発つTGVの中で彼らは一人のテロリストの襲撃に遭遇する。
果敢にも素手でテロリストに立ち向かう3人。重い傷を負いながらもテロリストを押さえ込み、負傷した乗客をも助け出す。
事件後3人は功績を讃えられフランス政府から受勲。母国アメリカでは英雄としてパレードが執り行われた。
映画の筋はそんな流れです。
『15時17分、パリ行き』〜で、どうだった?
『15時17分、パリ行き』を観終わって、「うむむ、、、」とある意味、うなってしまいました。
クリントイーストウッドは結構好きな監督です。しかしこの『15時17分、パリ行き』は、あれれ?で終わってしまいました。
いえね、『15時17分、パリ行き』が実話ということは知っていて観たわけですから、結末ももちろんわかっていました。しかし、「あれ、まあ、そうなのね、これで終わりなのね」とポカーンとしてしまった。
3人のとった行動も、本当にすごいことです。
彼らが子供の頃からの「仲良し幼なじみ3人組」という事実も、「事実は小説より奇なり」で、映画的です。
しかし、少年時代のエピソードも、軍人となって頑張るエピソードも、旅先エピソードも、それぞれがバラバラ。なんというか、、、脚本の「腰が引けてる感じ」。
途中、「さりげない伏線でもあって、あとあと生きてくるのかなあ、、、」と思って観続けていましたが、特にそんなこともなく、あっさりと終わってしまいました。
ということで、ぼく的には、好きなクリントイーストウッドですが、「残念ムービー」にカテゴライズです。
『15時17分、パリ行き』ノンフィクションと映画の違い
実話であっても、「ノンフィクションと、事実を脚本した映画」はベツモノだと思うのですよ。
映画制作で脚本を練った以上は、ノンフィクションではなく、それは「事実を元にしたフィクション」となるとぼくは思うのです。
期待してみたのがいけなかったのかなあ、、、う~ん、残念。
『15時17分、パリ行き』役者素人の本人たちの演技は?
あ、でも、『15時17分、パリ行き』の観ていて、事件の英雄となった本人たちの「演技」はよかったですよ。
演技の素人3人に「へたっぴー感」を感じなかったのは、逆にすごいと思いました。
一箇所だけニヤッとしたのは、劇中、子供部屋に「硫黄島からの手紙」のポスターが貼ってあったこと。チラ見せにこっちの期待は高まりましたよ。で、空振り。
「硫黄島からの手紙」は、クリントイーストウッド監督作品の中で、ぼくも大好きな映画です。なのでそのチラ見せが、なおさら残念に思えたのでした。
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