人が住めなくなった地球で限られた人を乗せた列車が疾走する。『スノーピアサー』=【雪を突き抜けていくやつ】…という意味です。各車両に振り分けられているのは、貧困層から富裕層まで。反乱アクションドラマが展開します。近未来版ノアの方舟ディストピアムービーです。貧困層が暮らしているのは最後尾。最貧困層を率いた1人の男と仲間たち。かれらの進む先に待っているものは…?今までになかったシチュエーションの映画かもしれません。
『スノーピアサー』あらすじは?
地球温暖化が進んだ近未来。ある化学物質を使って温暖化を阻止しようとした人類だったが、その企ては裏目に出る。
地球は化学物質の作用で氷河期に入り、動植物は死に絶える。
生き残った少数の人間たちは、謎の動力源で永遠に走り続ける列車「スノーピアサー」に暮らしながら生き抜いていた。
その列車は、富裕層から極貧層までが乗っているのだが、居住区はそれぞれ階層ごとに隔てられ交流もない。
極貧層の車両に暮らす主人公カーティスは、あまりの生活環境の酷さと富裕層の横暴に、反旗を翻す。
最後尾車両から仲間達とともに先頭車両を目指すカーティスたち。
車両を越えるたびに富裕層たちの防衛ラインが立ち塞がり、戦いが繰り返される。
果たしてカーティスたちは先頭車両にたどり着くことができるのか?
また、先頭車両に待っていたものとは???
といったストーリーです。
『スノーピアサー』なんでぼくは観ようと思ったか?
ぼくは映画評論家じゃないので、のべつまくなしに見るわけにはいきません。限られた時間の中「2時間」をひねり出すわけですから、そこには理由があります。全然興味ない映画は観ません。
『スノーピアサー』をぼくが観ようと思った理由は2つ。
一つ目はリトルダンサーの名子役だったジェイミー・ベルと、個人的に好きな俳優エド・ハリスが出ていること。
二つ目、監督が『パラサイト半地下の家族』ですごいなぁと思ったポン・ジュノ、制作が『オールドボーイ』でキメた、パク・チャヌクだったことです。
韓国映画って、すでにハリウッドを越えてる自由さがある…と思ってるし。(雰囲気だけね。詳しいこと知らんけど)
「ジェイミー・ベル、いい役者になってるかなー?『硫黄島からの手紙』じゃ、イマイチ欲求不満だったはずだし…。エド・ハリス、もう爺さんだけど、どんな役回りでまたカッコええと思わせるんだろ?」そんな感じ。
まあ、そんなスタッフ・キャストなので大きく外すことはないだろう…とは思っていました。が、「疾走する列車内が舞台」という設定には、正直あまりピンときてませんでした。
ところがその列車内舞台のドラマ設定が、意外にもツボでした。
「最後尾車両から先頭車両に辿り着くまでの出来事」これは、ヨイ映画に多いシナリオパターン『A地点からB地点まで』をがつんと踏んでいるではないですか。
『スノーピアサー』見どころは?
『A地点からB地点まで』って、小説も映画も名作多いです。ぼくが小学生だった頃、毎週ワクワクして見ていたテレビアニメ『宇宙戦艦ヤマト』なんて、今にして思えば究極の『A地点からB地点まで』ものです。
目指すははるか宇宙の彼方、誰も知らない希望の星イスカンダル。そこへ向かう途中、「行かせるもんか!」と次々手を変え品を変え襲いかかるガミラス軍。
話がずいぶんそれたように感じていると思いますが、『A地点からB地点まで』のわかりやすい基本はヤマトにあり、です。
話を『スノーピアサー』に戻すと、ヤマトの進む宇宙空間が列車というひょろ長い閉鎖空間に置き換わり、貧困層居住区車両=A地点=から、希望があるはずの富裕層先頭車両B地点へとひたすら進むのです。
ガミラスに取って代わり、主人公たちを待ち受け阻止しようとするのは、スノーピアサー列車内のエリートたち…なわけです。
『スノーピアサー』で、面白いの?
観終わってから知ったのですが、この映画のオリジナルは、フランスのコミックのようです。
1982年に出版。
面白いの?って聞かれて「うん、めっちゃ面白いよ」と、ぼくは正直にいえませんでした。
ドギツイシーンやアクションシーンもキメキメなのですが、「どっかマンガっぽいなあ」と観ながら思っていました。
マンガのかっこいいキメカット的なシーンが次々と出てきます。マーベル的に割り切ってとことん楽しんじゃえばいいのでしょうが、ぼくはなんだか割り切れませんでした。
なんでだろう?
と、考えました。以下、結論。
フランスのコミック=バンド・デシネって、日本のマンガともアメリカのコミックとも違う独特の毒みたいなのが、行間にただよってるようにぼくは感じます。
それが消えていたからなのかもしれません。
『スノーピアサー』結果、ぼくの評価は?
なんだかんだ言いましたが、でも、この映画、延々狭い空間での活劇アクションです。斧振り回して大活劇なんて、けっこう傷だらけで観ていて痛いですよ。
主役わき役ともにキャラも立っています。他に似てる作品が思い当たらない楽しい映画でした。
ネタバレになってしまいますが、脇役たちが次々死んでしまうのは、ちょっと殺しすぎなんじゃ?と思ってしまうほどバタバタいきます。それはもう、死亡フラッグ立っていないのに、容赦なく絶命していきます。ハリウッド映画ではありえないくらい、あっさりサヨナラです。
この辺りは、ポン・ジュノ監督の美学かもしれません。
エド・ハリスもラスト近く、ボス役で満を持して登板してきますが、派手な演技しません。適役だったと思います。
この映画は、クライマックスにおいて、「列車内の世界は、今、ぼくらが生きている世界のこと」だと痛切にグサリと刺します。そして終わる。
妙に腑に落ちる映画でした。
ぼくの評価は10点中7点、でした。
『スノーピアサー』スタッフ・キャスト
監督・脚本:ポン・ジュノ/撮影:ホン・キュンピョ/編集:スティーブ・チェ/音楽:マルコ・ベルトラミ
キャスト:カーティス・クリス・エバンス/エド・ハリス/ソン・ガンホ/ジェイミー・ベル/コ・アソン/ジョン・ハート 他
『スノーピアサー』配信先は?
U-NEXT Prime Video DMMTV RakutenTV hulu 以上の各配信先で見られます。
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