『七人の侍』はいったい何がすごいのか?
『七人の侍』を見ました。もう何度目だろう?と思いつつの黒澤明監督の名作、セブンサムライです。
世界に映画は星の数ほどありますけど、『七人の侍」ほど有名な、そして評価を得ている映画は他にあまりないでしょう。
ですから、今さらレビュー書いたところで、なんの役にも立たないことはわかってます。
それでも書くって、どういうこと?と言われそうですが、あえて今回書きます。
文にすることで、『ぼくはなぜ『七人の侍』を何度も見て、見るたびに感動するのか?』がわかる気がするんです。
なので、ぶっちゃけ、あんまり参考になるレビューじゃないと思います。
が、ここまで読んだあなたに向けて、あえて書いてみます。
最初に言っておきます。「ここまででも、読んでくれて、本当にありがとうございます!」
『七人の侍』トレイラー
『七人の侍』あらすじは?(ネタバレあり)
最初にあらすじを、短く書いておきますね。一部ネタバレありますので、『七人の侍』を見たことない方はスルーしてください。
貧しい村の農民たちが、野盗となった野武士から村を守るため、有り金を集めて侍を雇う。集められた侍は七人だ。
侍たちは、農民たちの暮らす村に防護柵を作り、農民たちにも戦い方を教え、そして野武士の到来を待つ。
野武士たちがやってきた。彼らは要塞と化した村に襲いかかってくる。
侍と農民たちは戦術を考え、1人また1人と野武士を倒してゆく。果たして侍たちは村を守り切ることができるのか??
配役とキャラ
ここで、配役を一通りまとめておきましょう。だって、七人もいますから。この記事書いていく中で、役名、さらにはキャラをおさらいしておきたいので。(カッコ内は役者名です)
・岡本勝四郎(木村功)/官兵衛押しかけ弟子。久蔵を慕う。ピュア。
『七人の侍』はつまらない?
先にも書きましたが、『七人の侍』をケナすなんて「映画評論家」ならできるハズがありませんけど、ぼくは評論家じゃない。なので素直に書いていきます。
はたして『七人の侍』はそんなに歴史に残るほどの傑作なのでしょうか?
1952年制作と昔の映画ですから、キラキラの今の色彩と音に慣れてしまったワカモノが見たらどう思うんだろう?
いままで口にしたことはなかったけど、ワカモノではないけど、ぶっちゃけ言います。
何言ってるかセリフがわからないよ…
でもね、志村喬のセリフはしっかり聞き取れるんだけど、他の役者のセリフはホント聞き取りにくい!
いま、日本人で『七人の侍』の全セリフを聞き取れる人っているのかなあ?
外国の映画監督が『七人の侍、ラブです』ってよく言うけど、それって彼らは「字幕で見てる」からってのもあるんじゃないか、と思ったりするわけですよ。
そのうえ、どうやら黒澤監督のこだわりでもあるらしいんですね。
どういうことかと言うと、その昔の農民の喋っている事は、聞き取りにくかったはずだ。だからあえての聞き取りにくさなんだ、というこだわりだった、といいます。
「七人の侍に日本語字幕をつけるだと!?なにごとだ!キサマはそれでも日本人か!?映画好きか!」と、どつかれそう…..。
ぼくだって確かに映画ファンですが、あくまでケシツブ、映画好き集まる銀河の端っこにぶら下がってる星くずくらいなもんです。
だから、いままで言わなかったけど、今回見てやっぱり半分くらいは聞き取れなかったので、思い切って書きました。
だって、『七人の侍』って、すごいことには、セリフが聞き取れなくたってアクビなんて全然出ないんだもの。グイグイ引っ張られて、面白いんだもの!
もしも、セリフがぜんぶ聞き取れたなら、どんなに幸せな気持ちになれるんだろう。。。
字幕版見れたら死んでもいい…と本気で思いますよ。セリフ聞き取れなくてもグイグイ引き込まれてしまう、そんなすんごい映画が『七人の侍』なのです。
モノクロってどうよ?
それは、見る人のイマジネーションの刺激です。脳の活性化といってもいいかもしれません。
それらは全て当然、白黒で表現されていますが、見ている人は勝手に色を想像してるんですよね。
色に溢れかえっている世の中で、あえて白黒映画を見るメリットだと僕は思っています。
有名なクライマックスの侍たちの戦いのシーンは、泥にまみれた男たちが、スクリーンを縦横無尽に駆け巡ります。
モノクロだからこそ、シーンに見る人の脳内細胞がさらに脚色して、映画をより素晴らしいものに見せているのように思います。
燃え盛る炎も、カラー以上に熱と怖さを感じるのは僕だけじゃないと思います。
白黒の持つパワーを存分に味わえる、七人の侍には見慣れたカラー映画にはないパワーが十二分に込められていますよ。
休憩入る長さって、飽きるんじゃないの?
七人の侍には休憩が入ります。4時間弱に及ぶ上映時間ですから、劇場で見るならば、当然トイレタイムが必要になってくるわけです。
「そんな長い時間の映画、どこかで飽きるんじゃないの?」って思われる方もいるでしょう。
この映画の凄いところは、間延びというものがほんとにありません。
気がつくと、「休憩」のテロップが画面に広がり、トイレに行ってるあいだに思うのは、
「ここから先の後半、どんな戦いとそしてアクションの醍醐味を見せてくれるんだろう?」
飽きるなんてとんでもない。すべて必要なシーンばかりで、ご心配無用の映画が『七人の侍』です。
『七人の侍』はなんでマネされてるの?
西部劇『荒野の七人』が『七人の侍』オマージュ作品だというのは有名です。
オマージュと言うより、「まんま、西部劇におき変えた」と言ってもいいですね。
ストーリーはそのまんま七人の侍が西部劇になった映画です。もはや七人の侍ラブですね。
他にも『地獄の7人』『宇宙の7人』『アルマゲドン』は七人の侍の換骨脱胎ムービーです。
最近では、SF映画『レベルムーン』の監督は「七人の侍のSF版だ」と公言していま
『七人の侍』の何がすごい?
なぜそんなにも『七人の侍』はマネされ、リスペクトされるんでしょうね?
ここからは、ぼくは『七人の侍』の何をすごい!と感じたのか?を書いて行ってみますね。
それが答えのひとつになるように思います。(ならないかな=汗)
『七人の侍』のテーマを超シンプルにいうなら、「弱きを助け、強きをくじく」です。
ストーリーは、侍集め→農民たちの戦士化→一致団結の激闘→仲間たちの死→そして敵の撃退=平和を勝ち取る…という筋だてです。
部活だって、受験だって、会社組織だって、相手と戦いながらの世界ですから。
だから、『七人の侍』のストーリーが、日頃うっすらとした戦いの中に生きている僕らに響いてくるんだと思うのは、考えすぎでしょうか。
では次に、『七人の侍』の「何」がグイグイひっぱってくれるのか、を書いてみますね。7人にあやかって、無理矢理7つあげてみましょう。
3.侍が師となり弱きものたちに戦うワザを教える=弱き者たちの成長
5.主人公菊千代の、侍にも農民にも属さない(属せない)生き様
映画ってエンタメです。ハラハラワクワクドキドキシクシク、、、そんな、エンタメに必要な全てが、『七人の侍』にはぎゅっと入っているんですね。
では以上の7つについて、ひとつひとつ、どういうふうにすごい!と感じたか書いてみます。
1.侍集めのハウツー…においては、七人のカシラとなる島田勘兵衛(志村喬)が「ホンマモン」の侍を集めるために取る方法が、やってくるサムライの真髄を見抜くテストでしてね、これがニヤリとさせます。
『七人の侍』全編通してスローモーションはそのシーンだけなんですよね。。。もしかするとそのカットは、映画界にスローモーションの美学をゴリッと刻み込んだ記念すべきカット、なのかもしれませんね。
『七人の侍』制作舞台裏ネタバレ
そんな「すごい!」連発の『七人の侍』の制作現場は、黒澤明鬼将軍が率いる激戦地だったようです。
俳優が「ああ、今日も撮影だ…行きたくねーなー」と思った、といいますから、ハンパなく妥協許さない演出だったんでしょうね。
雨をくっきり見せるために水に墨汁混ぜたり、炎上シーンでは役者がヤケドをおったりと、調べていくと枚挙にいとまがありません。
黒澤明監督は、とことんやりたいことやり尽くしたのが『七人の侍』のような気がします。
『七人の侍』まとめ
あれこれ書いてきましたが、『七人の侍』をぼくなりにひとことにまとめてみます。
「もし見ずにこの世にオサラバしなたら、化けて出てでも見た方がいい映画」
『七人の侍』の生き残りは誰?ネタバレ閲覧注意!
これ、口コミで結構知りたい方多いようですので、おまけネタバレで書いておきます。映画を見たい方は絶対読まないでくださいね。
『七人の侍』海外の反応は?
もう、言うに及ばず。世界中の監督、脚本家で『七人の侍』を見てない人、影響受けてない人は居ないと思います。
前にも書いたけど、海外では字幕で見ているはずなので、外国人は日本人以上に『七人の侍』をしっかり捉えているんじゃないでしょうか。
午前10時の映画祭で上映決定
毎年過去の名作を劇場に甦らせている「午前10時の映画祭」で『七人の侍』が上映されるそうです。詳しくは以下でどうぞ。
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