『アルゴ』救出スリラー傑作|ネタバレあらすじ・感想評価レビュー|実話が持つ歯車マジックの妙

実話・リアリティ

『アルゴ』評価星四つ半🌟🌟🌟🌟✨

『アルゴ』って、どんな映画??

1979年から1980年にかけて発生した在イランアメリカ大使館人質事件のウラ舞台ー大使館員脱出作戦を題材としています。

「奪還モノ」っていろいろありますが、救出方法において『アルゴ』の奇想天外さに勝る映画は他にないと思います。それも、実話で。

人質救出ミッションは、もともと機密事項でしたが、機密解除されたのを機に映画化されました。

では、どうやってイランからアメリカ人を6人もヒコーキに乗せ脱出させるのか?

それは「ロケハンにやってきたカナダ人映画クルーとして仕立て上げ、欺こう」という奇想天外なものでした。

ベン・アフレックが役者としての才能はもとより、脚本家として、監督としての才能を思いっきり、いかんなく発揮しています。

面白いです。快作です。(第85回アカデミー賞で作品賞を受賞しています)

『アルゴ』あらすじは?ネタバレあり閲覧注意

映画冒頭はこんな流れ解説が入ります↓

1979年2月にホメイニ率いる反体制勢力が、パーレビ国王をイランから追放した。いわゆるイラン革命だ。

その後、パーレビ元国王をアメリカが治療のため受け入れる。

そんなアメリカに対してテヘランでは反米デモが起こり、テヘランのアメリカ大使館は新政府側(イスラム革命評議会)に占拠される…。

映画は↑ココ↓から始まります。

52人のアメリカ人外交官が人質に取られたが、大使館占拠直前に、6人のアメリカ人大使館員がからくも脱出、近隣のカナダ大使公館に密かに匿われる。

しかし6人が脱出したことを新政府はまだ気づいていなかった。

アメリカCIA秘密工作本部作戦支援部は、極秘裏に彼らを救出する作戦を立てる。

作戦支援部のボス・ジャック・オドネル(ブライアン・クランストン)が白羽の矢を立てたのは、過去幾つもの脱出ミッションを手がけてきたトニー・メンデス(ベン・アフレック)だった。

トニーは6人をイランから救出するシナリオを考えた。

それは、『アルゴ』という架空のSF映画をでっち上げることで、6人をその映画ロケハンクルーに仕立て上げ、公然とテヘランから旅客機で脱出させるという奇抜な作戦だった。

架空のSF映画をでっち上げるとはいえ、その作戦は小さな綻びが失敗につながる。学芸会ではないのだ。

トニーは友人の「最後の猿の惑星」のメーキャップアーティスト、ジョン・チェンバース(ジョン・グッドマン)に連絡をとり、助力を請う。

ジョンはすぐさまプロデューサーのレスター・シーゲル (アラン・アーキン)を計画に引き入れ、オフィスを開く。

シーゲルは脚本家を抱き込み、絵コンテマンにストーリーボードを描かせ、俳優も決めた。

プレスリリースでは衣装を着せた俳優によるシナリオ読み合わせでリリース展開する徹底さだ。

アルゴクランクイン記事がバラエティ紙にも載り、計画はスタートした。

トニーはイランに渡り、カナダ大使公邸を訪ね、6人の大使館員に脱出計画を伝える。

奇想天外すぎる計画だ。もちろん全員が承諾するはずはない。

しかし限られている時間に押されるように大使館員たちも映画クルーとして脱出することに同意する。

不安を抱えながら、映画スタッフとして実際にロケハンを行う大使館員たち。

そして、いよいよ出国の日。

『アルゴ』あらすじラストまで〜ネタバレ閲覧注意

以下はネタバレとなります。映画をご覧になる方はスルーしてください。

+ + +

しかし、出発直前にCIAのボス・ジャックからトニーに一本の電話が入る。

「状況が変わった。作戦は中止だ」

脱出作戦にチームの航空券の手配がつかないという。

しかし、トニーは作成遂行を決意し、その旨をジャックに伝え、大使館員6人と共に空港へと向かう。

トニーらが目指すのは、スイス航空チェックインカウンターだ。

慌てふためく本国のジャック。なんとエアチケットがキャンセルになっているのだ。

ジャックは全ての手を打ちに打ち、ギリギリのタイミングで航空券を発券へとねじ込む。

空港の警備隊も間髪でクリアだ。しかし旅客機に乗り込むまで安堵はできない。エアポートバスに乗り込むトニーと6人。

しかし、身元が割れる。

助走に入ったスイス航空の旅客機を、イランの警備隊員たちが追う。

だが、間髪、スイス航空の旅客機は離陸。

トニーと6人は、イラン領空から離れた。

 

『アルゴ』感想

事実は小説よりも奇なり

「事実は小説よりも奇なり、とは言ったもんだなあ…」

この映画『アルゴ』は、ウソのようなホントのハナシの映画化ですが、僕は、クライマックスの奇跡のようなタイミングで離陸へと繋がってゆくくだりに、そんなふうに思っていました。

そして同時に「そうなんだよ、モノゴトって、とことん突き詰めると道が開けていくようになってるんだよな」って思っていました。

事実を映画化した作品の多くは、ちょっとしたタイミングのズレの連なりが、ドラマを喝采のエンディングへと導きます。

『アルゴ』もおなじです。

ネットもなかった時代に、舞台と地球の反対側はきちんと繋がって、全ての歯車が噛み合ってゆく。そしてラストへときちんと収まってゆくんです。(ぼくはそれを常々「歯車マジック」と勝手にネーミングしてる)

「前に進もうというエネルギーは全てのドアを開く」という法則ですね。

『アルゴ』は、秘密工作スリラーの体裁をとりながら、その実、製作陣はそんな普遍的「歯車マジック」を伝えたかったのではないでしょうか?

二刀流ベン・アフレック

ベン・アフレックをスクリーンで知ったのは『アルマゲドン』でした。

アメリカンコミックにでてくるみたいな2枚目だなーと、思ってました。

その彼が監督としてもイケてる!って思ったのがこの映画です。

実話ベースとはいえ、あくまで映画はエンタメです。ドキュメンタリーではありません。

うまい具合に虚構を差し込んでいます。

実際にはなかった大使館員たちによる市場現地ロケを創作で入れたり、ラストの警備隊が離陸する旅客機を追いかけるシーンもこれはフィクションですが、まるで絶対にあったかのようにウソをついてくれます。

観客をスクリーンの向こうに連れて行ってくれる見事なストーリーテリング。それこそまさに、監督ベン・アフレックの才能でしよう。

ジョンはいつでもグッドマン

ハラハラドキドキ感も良いですが、ジョン・チェンバースとレスター・シーゲルら映画人たちの絡みが絶妙です。

間を作ってくれてます。

ジョン・チェンバース役のジョン・グッドマンは個人的に大好きな俳優ですが、この映画でもグッドな間合いを作ってくれるんですよね。

ベン・アフレックの、無表情な中でグイグイ高める緊張感に対して、ジョン・グッドマンの、画面に居るだけで場を緩める感。

『アルゴ』の緩急は、やっぱり巨漢のジョン・グッドマンあってこそだと思います。

『アルゴ』ぼくの評価は星4つ半🌟🌟🌟🌟✨

ぼくはラストまで見て、こんなふうに問われた気がしました。

「うまくいくケースとうまくいかないケースの違いは、どこにあると思う??」

この映画は、そこんとこ考えてごらんよ、というギフトだったと思ってます。

誰にでもオススメの一本

秘密作戦スリラーというカタチとっていますが、見る人を選ばないと思います。際どいシーンとか気まずいシーンもないですし、ラストもホッとしますから。

首吊られてるシーンや射殺と見せかけ脅すシーンもありますけど、それは許容範囲の写し方。

歴史の勉強メリットの方が大きい^_^

まあ、こういうタイプの映画はファミリーで見ようというパパママはあまりいないと思うけど、家族で見たって全然ノープロブレムだと思いますよ。

いろんな方に見てほしい映画です。

『アルゴ』スタッフ・キャスト

監督/ベン・アフレック

脚本/クリス・テリオ

製作/ベン・アフレック  ジョージ・クルーニー   グラント・ヘスロヴ

音楽/アレクサンドル・デスプラ

撮影/ロドリゴ・プリエト

編集/ウィリアム・ゴールデンバーグ

キャスト

トニー・メンデス – ベン・アフレック

ジャック・オドネル – ブライアン・クランスト

レスター・シーゲル – アラン・アーキン

ジョン・チェンバース – ジョン・グッドマン

ボブ・アンダース – テイト・ドノヴァン

コーラ・ライジェク – クレア・デュヴァル

マーク・ライジェク – クリストファー・デナム

ジョー・スタッフォード – スクート・マクネイリー

キャシー・スタッフォード – ケリー・ビシェ

リー・シャッツ – ロリー・コクレーン

『アルゴ』配信先は?

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