『Cloud クラウド』ネタバレあらすじ・考察・評価〜今ドキの憎悪連鎖が怖い

スリラー・SF・アクション

 『Cloud クラウド』憎悪連鎖のカラッポさが怖い〜評価⭐️⭐️✨2つ半

転売で稼ぐ男が、ネット上で憎悪の連鎖の対象になり、追い詰められてゆく…というあらすじの『Cloud クラウド』。

主演の菅田将暉の演技がすごい!との評判の映画です。

監督・脚本は黒沢清。タイトルのクラウドとは「雲」の意味ですが、何を表しているのでしょう?

今という時代を切り取ったスリラー『クラウド』を見てみました。

『クラウド』どんな映画?〜予告編

『クラウド』あらすじは?ネタバレあり

あらすじはネタバレを含みますので、映画を見たい方はスルーしてください。

主人公吉井は、クリーニング工場で働いていますが、裏では訳アリの製品を安く買いたたき、ネット上で売りさばいている転売を稼業にしています。

とある転売を成功させ、吉井は付き合っている女性と2人で、街から離れた一軒家に仕事場兼自宅を構えます。

吉井は、仕事を大きくするために1人の若い男性をアシスタントとして雇い、転売を繰り返していきます。

その売買の陰で買い叩かれたり損をした人間たちが、ネット上でつながり、「吉井だたき」を計画し、実行にうつします。

吉井の住まいは、湖のほとりの離れた一軒家。わけもわからずに追われる吉井。逃げ延びたと思った矢先、一人の男が現れます。その男は思いもかけない人物でした、、、、。

…というサスペンスフルなストーリーです。


『クラウド』感想です〜ネタバレ閲覧注意

冒頭から、ぐいっと掴まれました。主人公の「空虚な目、空虚な行為」がずば抜けて存在感を放っていました。

空虚な存在感って、すごくないですか?

そういえば、タイトルもクラウドでした。クラウドって「雲」ですから、いわば「空虚な空に浮かぶ掴みようのない存在」ですよね。

うまいです。

吉井が転売することで傷ついたり、嫌な目にあった人々が徐々にネット上(クラウド)で結束しはじめるくだりは、まさに今です。

最近のニュースを騒がせている「カンケーない複数の人たちが集まって誰かを傷つける」事件の数々を彷彿とさせます。

吉井を追い詰める面々は、いろいろです。

正論かましながら痛めつけたい人もいれば、身内を奪われた復讐心で加わる人もいる。かと思えば、ただのウサバラシ、お遊び感覚の人もいて、「なんか、人を痛めつけるのってワクワクするよな」、、、という、怖い共通点で集まって吉井を追い詰める。

そんなクラウド心理って、今の社会を見事に突いていますよ。

「集まって誰かを痛めつける。別に誰でもいいんだ、どうでもいいんだよ」、、、みたいなセリフも出てきます。

、、、もしかすると、電車で隣に座ってるオジサンが、オニーサンがそんなヤバ普通な人かもしれない、、、って思ってしまいます。ホラーです。ほんと怖かった。

主役吉井を演じているのは菅田将暉ですが、その空虚さ、ウワサに違わず見事でした。ほんと、からっぽな目。すごかった。

もっとも前半をしめる空虚感の表現は、彼だけの力じゃなくて、音響や美術の力もとっても大きい、と感じました。

映画の中の空気感って、最後は演技と美術、音、撮影のコラボですよね。「転売屋」という虚業に時間を費やす吉井の空虚な目。その目が泳ぐ(見る)空虚な世界が見事でした。

もう、そのシーンの連続は、シーンの畳み掛けだけで緊張感じわじわな怖さを押し上げていきますので、一見の価値ありだと思います。

ところが、後半、どうしたわけか、そんな緊張感スリラートーンが崩去って、つまらない(失礼!)ガンアクションに。

正直言います。「ありゃりゃ??」と、なりました。

「何かの間違いかな???」とも。

でも、なんかね、そんなクライマックスシーンからは「こんなガンアクション、やりたかったのよ!!」感も出てるんですよね。

それはそれでいいんです。でも、僕には全然迫ってこなかったんです。。。残念。。

振り返って前半の台詞回しは、いたって平凡なんです。その平凡さは、僕はあえて後半へ繋ぐための脚本の策略だろう、、、と思っていたくらいです。

が、なんだかそんな平凡さも、後半どうでもいい感じになって終わってしまいました。

そのクライマックスに至っては、がっかりアクション。見ている僕の心はスクリーンから空虚に離れていました。

なんで前半と後半がこんなにもトーンが違ってしまったんでしょうか。

前半良かっただけに残念な映画でした。


『クラウド』評価

ということで、ぼくの評価は星⭐️⭐️✨ふたつ半。でした。

吉井の彼女との関係、アシスタントの青年の裏社会とのつながりとか、もっと知りたかったなあ。

『クラウド』大きく好みが分かれる映画のような気がします。


『クラウド』スタッフ・キャスト

監督・脚本/黒沢清 撮影/佐々木靖之  照明/永田ひでのり  録音/渡辺真司   美術/安宅紀史

キャスト/菅田将暉、古川琴音、奥平大兼、岡山天音、荒川良々、窪田正孝 松重豊、赤堀雅秋、吉岡睦雄、三河悠冴、山田真歩、矢柴俊博、森下能幸 他







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