『カモンカモン』解説|子供の言葉って、名言!ネタバレあらすじ・感想・評価レビュー

ヒューマン・ハートフル

映画『カモンカモン』(原題C’mon C’mon)は、2021年に公開された監督マイク・ミルズ、主演ホアキン・フェニックスのアメリカ映画です。

『カモンカモン』は、第94回アカデミー賞で、作品賞、監督賞、主演男優賞、オリジナル脚本賞の4部門にノミネートされています。




9歳の子供と叔父にあたるラジオジャーナリストが、共同生活を通してぶつかり合いながらもさまざまなことを学んでいゆく、、、そんな映画です。

ホアキン・フェニックスの映画は、実は、古代ローマの剣闘士を主人公にした『グラディエーター』(リドリースコット監督作品)しかみたことがありませんでした。

今回『カモンカモン』を観て、いい役者さんだなあ、と、改めて感じました。

とても静かな映画です。タイトルも「C’mon C’mon=「サッサと答えろよ」、「こっちにきなよ」と、意味深です。そんな『カモンカモン』をレビューしてみます。




『カモンカモン』〜予告編〜




『カモンカモン』〜解説〜

監督はマイク・ミルズ(「人生はビギナーズ」)。主人公をホアキン・フェニックスが演じています。

甥っ子との生活が降って湧いたように始まった共同生活に戸惑う主人公。その二人の日々を描いた、静かな、深いヒューマンドラマです。あえてモノクロームで撮った映像が、観る人の想像力を広げてくれます。

「ジョーカー」でアカデミー主演男優賞を受賞したホアキン・フェニックスが、子供に振り回されつつ自分を見つめ直していく役回りを丁寧に演じています。



『カモンカモン』〜あらすじは?〜

ニューヨークでラジオジャーナリストとして働くジョニー(ホアキン・フェニックス)は、子供たちをインタビューする仕事をしていた。

仕事には満足しているが、日常には疲れているそんなジョニー。

彼はある日、妹のヴィヴから9歳の甥・ジェシーの面倒をみてほしいと頼まれる。ヴィブの夫が病気で入院しているためだ。

ジョニーは引き受け、ロスでジェシーと共同生活を始める事になる。

最初はぎこちないながらも、次第に打ち解けていくジョニーとジェシー。ジェシーは録音機材に興味を示し、録音に、音に目覚める。

ジョニーは徐々に好奇心旺盛なジェシーの性格に触発され、ジェシーはジョニーの温かさに触れ、互いに何かを感じ始める。

ジョニーの仕事の都合でニューヨークに戻らなければならなくなる。ジョニーはジェシーを連れて一緒に行くことを決心し、ジェシーも同意。妹のヴィヴはニューヨークで二人が生活できるわけがないと引き止めるが、二人はニューヨークへ。

ニューヨークでの刺激的な新たな生活の中で、ジョニーとジェシーはぶつかったり笑顔を交わしたり…二人の絆どのような形に変わっていくのか

以上があらすじですが、二人の「ダイレクトな言葉の交流」が、二人をともに新たな高みへいざなっていく…そんなドラマです。

また、「子供たちの声に耳を傾けることの大切さ」が大きなテーマとなっています。ジョニーは、子供たちのインタビューを通して、子供たちの考えや感じていることを理解していきます。

子供たちの声に耳を傾けることで、ジョニーは社会の問題について新たな視点を獲得していきます。




『カモンカモン』〜ぼくの感想〜

我が子が幼かったころ、「こどもって、実は親よりもパーフェクトな存在かも?」って思うことが多々ありました。

小難しい言葉は使えないけど、拙い言葉ながら、「神か?」とどきっとさせられたことも多々でした。

8歳~12歳くらいの子どもの「考えていること」って、もしその言葉を集めることができたなら「素敵な未来をつくるキーワードの宝庫」かもとも思いました。

映画『カモンカモン』を観ての感想は、それにつきます。




『カモンカモン』〜考察〜子どもの言葉=名言にうなずく

録音技術者のジョニー役をホアキン・フェニックスが演じています。

ジョニーは妹ヴィブの子どもジェシーを、姉の事情で預かることになります。

独身のジョニーは子どもがいません。

ジェシーとの距離に戸惑いながらも2人生活をはじめるジョニーですが、ジェシーが録音の器材に興味を示したことで2人の距離は徐々に近くなってゆきます。

ジェシーのジョニーに対して発する声=問いかけは、子どものそれです。

要は大人の会話にある遠慮が一切ありません。また、時に真実をついてきます。

ジェシーのセリフを、流して聞いちゃうと、ソンします。

もちろん大人目線で観ると、わけがわからないセリフもあります。

でも、子どもの言葉って、すごいこと言ってるのとわけわからない言葉が、ほんの紙一重なんですよね。

子どもの言葉に耳を傾けることで、映画をより深く楽しめるのが『カモンカモン』だと思います。




『カモンカモン』エンドロールのネタバレ

『カモンカモン』は、エンドロールが流れたからといって、決してストップボタンを押してはいけません。

スタッフクレジットロールにかぶさるように、ジョニーが録音した子どもたちへのインタビューへの回答、いくつも子どもたちの声が流れます。

それらがみな、とっておきの未来への名言ですよ。

ぜひラストまで「耳をそばだてて」ご覧ください。

「平凡なものを不滅にするってクールだ」というジョニーのセリフがあります。

ジェシーが「録音の何が好きなの?」というシンプルない問いかけへのジョニーの答えです。これってすごいセリフだ。

人が生きる中でなすことは、それは平凡の積み重ねです。しかしその積み重ね自体がクールであり、人が死んでもあとに残っていくんだよという映画のメッセージに感じました。




『カモンカモン』ぼくの評価は?

映画『カモンカモン』はモノクロームで撮られています。

観はじめたとき、「なんでモノクロなんだろう?」と思いました。

観終わって、わかりました。

交わされる言葉やインタビューで録られる音がカギとなっています。

モノクロには、利点があります。

それは、観るものの注意力や想像力を高める、ということ。

カラーだと情報が過多になり、「観たつもり」になってしまうデメリットがあります。

映画の作り手は、「映像をあえてモノクロームにすることによって、観客が耳から情報を取り込むことを高めよう」そう考えたに違いないと、ぼくは思いました。

子どもは高い神性を持って生まれてくると思っています。しかし悲しいかな世間に揉まれ、歳を重ねるごとに神性が引っ込んでいってしまう

ジョニーがインタビューで聞き出す子どもたちの言葉の数々は、ぼくら大人たちを「はっ!」とさせる大きな力を持っています。

この言葉たちを映画のセリフとして聞けただけでも、キラキラした宝物をもらった気分になりました。

大人たちが作り出したこの混沌とした世界。

映画『カモンカモン』は、これから世界を担う子供達への大人としての贖罪と、良き方向へ向けるための礎石として、作られたのだと思います。

そういった意味でも、素晴らしい映画でした。

ホアキン・フェニックスの出演した『グラディエーター』はこちらにレビューを書いています。よかったらどうぞご覧ください。







『カモンカモン』配信先は?

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