こんにちは!映画好き絵描きのタクです。今回レビューする映画は、『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』です。
『インディ再来!!!』と「!」を最低三つは打ち込みたくなる、久々のシリーズ最新作『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』。
しかし…正直に言います。観るのは、「恐る恐る、大きな不安を抱えながら」でした。
だって、過去作『インディ・ジョーンズシリーズ』を全作品映画館でワクワク見てきたのです…。
しかも時はたち、主役のハリソン・フォードはすでに80歳…。活劇がカナメの本シリーズです。果たして80歳のハリソンは活劇に耐えうるんだろうか???
「この映画、観るべきか、過去の楽しかった思い出として、そ〜〜っと封印しておいた方がいいのかな…。」そんな気持ちもありました。
ですが映画が始まると同時にその不安は見事に消し飛びました。それもオープニングから一瞬(!)で。
映画『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』がインディシリーズの運命にどう応えたのか?レビューしてみます。
『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』予告編
『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』スタッフ・キャスト
製作総指揮:ジョージ・ルーカス:スティーヴン・スピルバーグ
監督: ジェームズ・マンゴールド
キャスト:ハリソン・フォード/マッツ・ミケルセン/フィービー・ウォーラー=ブリッジ/アントニオ・バンデラス/ジョン・リス=デイヴィス/
製作:キャスリーン・ケネディ、フランク・マーシャル、サイモン・エマニュエル
音楽:ジョン・ウィリアムズ
『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』あらすじネタバレ閲覧注意!
以下あらすじは一部ネタバレを含みます。映画を見る方はスルーしてください。
冒頭、舞台は第二次世界大戦のヨーロッパで始まる。ベルリン陥落が近い。
インディはドイツ軍に捕まっている。
ナチスから秘宝「ロンギヌスの槍」を友人考古学者バジルと共に奪還しようとするが、失敗したのだ。
しかし連合軍の爆撃のどさくさにまぎれインディは辛くも脱出。ドイツ軍が秘宝を運び出そうとする軍用列車に紛れ込み、奪い返えそうとする。
そこに立ち塞がったのはナチスの御用物理学者フォラー。
列車上でインディはフォラーと格闘。フォラーは列車から落下。その流れで偶然インディはもう一つの秘宝「アンティキティラ」の半分を手に入れる。
「アンティキティラ」。それは紀元前古代ギリシャローマ時代の謎の遺物だ。
シチリア沖で沈没していたガレー船(古代ローマの軍船)から引き上げられたもので、古代地中海世界では存在自体ありえない、複雑怪奇なダイヤル機構を持った謎の機械だ。
時代は移り1969年。インディはアメリカ本土・ニューヨークで大学を定年で退職。町は人類初の月面着陸で沸いている
退職で沈んだ面持ちのインディの前に、旧友バジルの娘ヘレナが現れる。
「アンティキティラ」を探しているという。
インディは史料室に隠していた「アンティキティラ」の半分をヘレナに見せる。
そこへ現れる謎の男たち。ヘレナは「アンティキティラ」を持ち逃げし、インディは辛くも追手から逃れる。
追手は1944年、軍用列車で格闘したフォラーの手下だった。終戦後、フォラーはアメリカに渡り、ロケット工学の分野での第一人者となっていたのだ。
なぜ「アンティキティラ」をフォラーは欲しがるのか?
「アンティキティラ」はアルキメデスが発明した森羅万象の仕組みを読み解く機械だった。
さらには「アンティキティラ」は時空を超える機能もあることをフォラーは知っていたのだ。
なんとしても「アンティキティラ」を奪い返したいフォラー。
ヘレナの行き先は闇オークション会場のあるモロッコだ。
インディは「アンティキティラ」を取り戻すべく古い友人の助けを借り、空港からモロッコへと飛ぶ。
しかし、同時にフォラーと手下たちもヘレナの行き先を嗅ぎつけ、モロッコへと向かっていた。
モロッコの喧騒の中、一軒の店の中でオークションが開催されている。
「アンティキティラ」の値を釣り上げてゆくヘレナがそこにいた。
店内に入ろうとするインディを門番の少年が止めるが、インディはもちろん聞きはしない。
オークション会場で「アンティキティラ」を取り戻すインディ。
しかし同時にフォラーと手下も室内に現れ「アンティキティラ」はフォラーの手に渡ってしまう。
何としてもフォラーから「アンティキティラ」を奪取しなければならない。インディはヘレナと少年を三輪オートに乗せ、フォラーを追う。
モロッコからシチリアの沖合へと「アンティキティラ」のダイヤルの謎を巡る追いつ追われつがはじまる。
インディはアルキメデスの残した謎をとき、「アンティキティラ」を「あるべき場所」に戻すことができるのか?
というあらすじです。
『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』感想考察:見どころは?
「危機→ニヤリ→危機→ニヤリ」の連打
冒頭で観るまで不安があった、、、と書きました。
しかし、冒頭数分で、そんな不安はどこかに消し飛んでいました。
スタートダッシュから気分はもう『レイダース』。1981年公開時の高揚感。
シリーズのコダワリ「危機→ニヤリ→危機」連打が次々打ち込まれます。
オープニングのドイツ軍とインディの追いつ追われつ15分(くらいかと思う)にインディエッセンスをしっかり感じたボクは、ハラハラ越えて感動さえ覚えました。
ちなみに『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』冒頭のインディ=ハリソン・フォードは、VFX技術で若かりし頃を再現され、違和感全然ありませんよ。
ミリオタ喜ぶオープニング
時代背景は、第二次世界大戦です。
ちなみに前作までの監督スティーブン・スピルバーグは結構なミリオタでもあります。(ぼくも実は少しミリオタ)
だからでしょう、一作目の『レイダース 失われたアーク』ではドイツ軍の車両や潜水艦の描写は実にこだわって撮っていました。
今回、監督はジェームズ・マンゴールドに変わりましたが、ミリタリー小道具へのこだわりは、武器から軍用車両、果てはドイツ兵の迷彩服までバッチリです。
軍用列車の後尾車両にはドイツ軍対空機銃のflak38がちらっと登場したりして、「これは絶対何かやらかすだろうな」と思っていたら、ちゃんとドカドカやってくれたりしますから、ミリオタサービスは健在でした。
おっと、話がそれました。もちろんミリオタ向けに作られた映画じゃあありません。
とにかくです、ハラハラさせたかと思えばニヤリとさせてくれる。その間合いも絶妙。
撮影テク(VFXやスタント)も前作からはるかに進化しています。なので、追っかけドタバタも、カットそれぞれがカメラアングルから構図まで新鮮。それは感涙ものです。
アクションシーンが魅せまくるのは冒頭部分に限りません。全編通して手抜かりなし。最後まで突っ走ってくれました。
定番すぎてつまらない?
もっともそんなインディ・ジョーンズのテンポを「型通りすぎてつまらない」と感じる方もいるでしょう。(口コミにもありました)
でも、ぼくはその型を「監督、間違いなく確信犯だよなあ」と捉えて、逆に楽しんで観ていました。
インディ・ジョーンズのテンポや型を他の映画に例えるなら、そうですね、「フーテンの寅さん」にも通じる「型のもつ安心感。そして感動」といっても良いでしょう。
「寅さんってさ、いっつも同じでつまらない」っていう口コミもありますよね。
でも「寅さんってさ、いっつも同じだから安心して面白がれるんだよな」と感じるタイプが、ぼくですし、同意する方も多分たくさんいると思います。
インディシリーズもまさに「寅さんの流儀」と同じ、そう思います。
監督バトンタッチは成功だったのか?
ハイ、ぼくは監督チェンジは大成功だったと思います。
映画のシリーズものって、回を重ねるにつれて、固定ファンも増えます。
固定ファンが増えるということは、「こんなんじゃなかったよな」と前作にこだわるファンも増えるということ。
当然、2作目、3作目と辛めの口コミも増えてくる。
監督は辛いよ、だと思います。
今回監督がジェームズ・マンゴールド監督に変わりましたが、「変わらずのインディ」と感じました。
それは、ジェームズ・マンゴールド監督の玄人手腕に尽きるでしょう。
スピルバーグの定番演出をきっちり抑えつつ、キャストにマッツ・ミケルセンやアントニオ・バンデラスといった弩級俳優をすえることで、シリーズに新しい魅力を引き出したと感じました。
シリーズ真髄きっちり踏襲〜対比のもつ愉快さ
さらにインディシリーズの魅力を分析するなら、一つは「対比のもつ愉快さ」にあります。
「ハラハラとニヤニヤ」・「チビとデカ」・「太っちょとのっぽ」そんな対比が『インディシリーズ』を楽しく愉快な映画にさせてくれています。名作アニメ「トムとジェリー」的といってもよいです。
インディシリーズの制作はジョージ・ルーカスです。
ルーカスが監督した『スターウォーズ』でもその対比を生かしてスパイスを効かせています。
スターウォーズでの「対比のもつ愉快さ」って、そう、ちびとのっぽのR2-D2とC-3POであり、ハリソン・フォード演ずるハンソロに対するチューバッカの存在です。
(余談ですが、一作目『レイダース』でインディが脱出するときに乗る水上飛行機が出てきます。その機体に書かれたシリアルナンバーは「OB -CPO」。そう、OB=オビワン・ケノービの「OB」とC-3POの「CPO」です)
先にも書きましたがモノ的な対比だけじゃなく、アクションシーンの緩急にも「ハラハラとニヤニヤ」対比を徹底的に生しています。だから面白いんですよね。
ルーカスDNAといっても良いかもしれません。
『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』の魅力は、ルーカスDNA=対比を生かした脚本=にもあるのです。
『インディ・ジョーンズ』シリーズ豪華キャストを楽しむ
キャストが今回もふるっています。
『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』のインディの敵役は、なんとマッツ・ミケルセン。そして海底考古学調査シーンで登場するインディ旧友ダイバー役には、アントニオ・バンデラスを迎えています。
ぼくは前情報ほぼなしで観たので、この二人の登場には嬉し涙でした。
過去のインディシリーズでも、名優ショーン・コネリーがいい味出してたりしますね。
『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』でもマッツ・ミケルセンとアントニオ・バンデラスの存在が映画に陰影を与えて、バッチリ効いていました。
アンティキテラって、本当にあるの??
はい、あります。こんなのです。写真と概要をWikipediaから転載します。
ぼくはアンティキテラに絡む本を過去に読んでいましたのでピンときましたが、知らない方多いと思うので、以下、Wikipediaのアンティキテラ解説です。(一部抜粋)
アンティキティラ島の機械(アンティキティラとうのきかい、希: Μηχανισμός των Αντικυθήρων, Mechanismós ton Antikythíron)は、アンティキティラ島近海の沈没船から発見された古代ギリシア時代の遺物で、天体運行を計算するため作られた手回し式の太陽系儀であると推定されている[1][2]。オーパーツの一つ。
概要
この機械は1901年に考古学者ヴァレリオス・スタイスによってアンティキティラの沈没船から回収された。ただし、その複雑さや重要性は何十年もの間気づかれることがなかった。紀元前3世紀ー紀元前1世紀中ごろの間に製作されたと考えられており、同様な複雑さを持った技術工芸品は、その1000年後まで現れることはなかった[3]。
フランスの海洋学者ジャック=イヴ・クストーは1978年に最後に沈没船を訪れている。しかし、「アンティキティラ島の機械」の残りの部分を発見するには至らなかった[4]。アンティキティラ島の機械に関する最新の研究を指導しているカーディフ大学のマイケル・エドマンド教授は「この装置はこの種のものとしては抜きん出ている。デザインは美しく、天文学から見ても非常に正確に出来ている。機械の作りにはただ驚嘆させられるばかりだ。これを作った者は恐ろしく丁寧な仕事をした。歴史的にまた希少価値から見て、私はこの機械はモナ・リザよりも価値があると言わねばならない」としている[5]。
この発見により、古代ギリシア文明は考古学者による従来の想定よりも文明力が優れていることが明らかになった。
実物はアテネ国立考古学博物館の青銅器時代区画にデレク・デ・ソーラ・プライスによる復元品と共に展示されている。その他の復元品は米国モンタナ州ボーズマンのアメリカ計算機博物館、マンハッタン子供博物館に収められている。
ネタバレ〜閲覧注意!シラクサの戦いに狂喜したぼく
この章は完全にネタバレになりますから観るかたはスルーしてください。
ぼくはミリオタでもありますが、同時に古代ギリシャローマフェチでもあります。実は学生時代の専攻は、古代ギリシャローマ史。
『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』のキーとなる人物はアルキメデスです。
そしてクライマックスはなんと時空を越えて、古代地中海世界!が再現されます。
古代ローマの軍船が見えたカットには、ざわっと鳥肌がたちました。
まさかインディシリーズで紀元前地中海世界のシラクサ包囲戦シーンが見れるとは「これっぽっち」も思っていなかった。
「ああ、生きててよかった、インディの新作でシラクサ包囲戦が映像で見られるなんて、、、」と半泣きになったぼくでした。
紀元前212年に残りたかったインディ…わかるなあ
映画の蓋を開けたら、ぼく自身が過去ハマっていた古代地中海世界とリンクした映画が『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』でした。
インディがクライマックスで「シラクサに残りたい…」と、せつなげに言います。
「紀元前212年の世界にこのまま居させてくれ…」というそのセリフが、ぼくは痛いほどわかりました。
インディの心に宿る古代への情熱の炎が見えるようでした。
シリーズ5作品のなかで、その炎が最も見えたのが『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』でした。
『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』前作見てない方も大丈夫!
ここで、「インディシリーズ、他の作品見たことないんだけど、運命のダイヤルから見ても大丈夫かな?」と思われている方へ。
「大丈夫です!まっったく問題ございません」
がぼくの答え。
もちろん、過去エピソードへのオマージュシーンもいくつも出てきます。
でも、知らなくたって、面白いカットとして成立しています。
逆に、『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』を見た後に、過去作品をぜひ観てください。
「あ!このシーンが運命のダイヤルのあのシーンに使われていたんだ!」と発見する楽しみがありますよ。
『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』をより楽しむためのアルキメデス解説リンク
劇中の鍵となるアルキメデスのことや、インディが劇中で解き明かした「水が溢れる仕掛け」について、別記事でまとめてみました。
興味のある方は以下からご覧ください。
https://www.movie-diaries.com/indijpnes_dial_kousatu_kaisetsu-1860
『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』を今、見る意味は?そしてぼくの評価
徹頭徹尾、昔ながらの冒険活劇を今に蘇らせたのが『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』でした。
インディ主役の『レイダーズ 失われたアーク』が世に出た1981年以降、似たような活劇ムービーはたくさん世に送り出されてきました。
ぼくもそれなりに観てはきましたが、そんな作品は結構駄作も多い…というか、かなりの高確率でダサダサ。
で、今回改めて思いました。
「一作目から40年たった今も『インディ・ジョーンズ』の持っている輝きは別格だ。クラシックになっていない。偉大でさえある!」と。
活劇やアクション映画が溢れかえっている今だからこそ観てほしい一本です。
ぼくの評価は、五つ星。殿堂入り決定!
ぼく自身、インディと同じ古代史を夢見ていた人間です。クライマックスのシラクサ包囲戦をサプライズで見せていただいたことで、細かなマイナスは全てすっ飛んでしまいました。
まとめ インディと時計の素敵な関係
『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』の中で、大学を定年退職して気落ちしたインディに、退職記念として学校の皆からプレゼントが渡されます。それは、何かと言いますと、「時計」です。
そのシーンを見た時、ぼく自身のとある過去の出来事を思い出していました。
「時を自在に行き来できる心を持て」
学生時代、ぼくは古代ギリシャローマ史を学んでいた、と、書きました。
卒業間近、担当教授:大江善男教授を囲んでのコンパがあり、ゼミ生の僕らは一台の「置き時計」をお礼の品に選びました。(映画と同じですね)
受け取った教授の言葉がいまだに忘れられません。
大江教授はこう言ったのです。
「私の心の時計はね、2000年前で止まってしまっているんですよ…。ありがとう。」
教授はぼくらに「時を自在に行き来できる心を持て」と伝えたかったに違いない、、と、ぼくはずっと思っていました。(これ、作ってません。)
『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』のエンドクレジットには、定番となったジョン・ウィリアムズ作曲「レイダーズのテーマ」が流れます。
そのエンドロールを読みながら、ぼくの心では、インディと大江教授がオーバーラップしていました。
『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』配信先は?
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