『レオン』完全版:あらすじ簡単紹介からネタバレ感想評価まで|マチルダの魅力とゲイリーオールドマンの超絶悪役っぷり必見

スリラー・SF・アクション

こんにちは、映画付き絵描きのタクです。今回取り上げる映画は『レオン』の完全版です。いわゆるディレクターズカット版ですね。公開は1994年で、当時のキャッチコピーは「凶暴な純愛」とか、そんな感じだったと思います。監督がリュック・ベッソン。ニューヨークが舞台ですが、実は『レオン』はフランス映画です。

孤独な殺し屋レオン(ジャン・レノ)と、偶然助けてしまった少女マチルダ(ナタリー・ポートマン)。絡むは悪徳麻薬捜査官スタンスフィールド(ゲイリー・オールドマン)。ニューヨーク舞台のアクションムービーレビューです。


『レオン』完全版・予告編

『レオン』完全版・解説

1994年公開の映画です。主役はニューヨークの殺し屋レオンと少女マチルダ。レオンが成り行きで助けた同じアパートの少女マチルダとともに過ごす愛と逃避、そして戦いの物語です。

監督はリュック・ベッソン。『グランブルー』や『ニキータ』で有名ですが、映画をあまり見ない人たちにもドカンと名を馳せたのはこの『レオン』でしょう。

「殺し屋と少女」の心の交流とアクションをうまく組み合わせてオリジナルな世界観を作っています。アメリカ映画の持つ「乾いた感」がないのは、フランス映画だからかもしれません。

レオン役を演じたのはジャン・レノ。少女マチルダ役をナタリー・ポートマン。彼女のデビュー作です。


『レオン』完全版〜1994年公開版との違い

完全版はディレクターズ・カットです。監督自らが22分の未公開シーンを加えて編集しなおしています。

追加されているシーンは、レオンが過去を語るシーンや、マチルダの銃の練習シーン、襲撃の助手シーンなどです。その追加によってマチルダとレオンの関係がかなり深いところまで表現されています。

レオン=成人男性とマチルダ=少女が愛について語り合うシーンがありますが、そのくだりも1994年版ではカットされています。


『レオン完全版』へのナタリー・ポートマンの意見

ナタリー・ポートマンは、その件について不快感を持ってこう語っているそうです。

「子どもなのに性的対象として見られたことで、私自身の性的な関心は奪われたと思う。性的な存在になることが怖かったから」

そのように、少女が性的対象として消費される問題を提起しています。

(以上、完全版〜1994年公開版との違いとナタリーポートマンの意見はWikipediaを参考にしました)



『レオン』完全版・あらすじ簡単に

4行であらすじを紹介すると、こんな感じです。

1.麻薬の売人であるマチルダの父親と家族がアパートで殺される。

2.偶然外に出ていたマチルダはレオンの部屋に匿われ難を逃れる。

3.手を下したのは悪徳麻薬捜査官だった。マチルダはレオンに復讐を依頼するが…

4.マチルダの行動が麻薬捜査官に知れてしまい物語は急展する…

『レオン』完全版・あらすじ結末ラストまで

以下あらすじはネタバレになります。映画を観たい方はスルーしてください。

主役は腕ききの殺し屋レオン。彼の住まいはニューヨークのダウンタウンの安アパートだ。心を開いている相手は一本の鉢植えだけ。

同じアパートの別室で家族と暮らしているのは、12歳の少女マチルダ。

彼女はある日、麻薬密売組織に家族を殺され、マチルダだけが隣の部屋のレオンに匿われ命拾いする。

マチルダはレオンの家の居候となり、家族を殺した麻薬捜査官スタンスフィールドへの復讐を依頼する。断るレオンにマチルダは、殺し屋として教えを請う。

マチルダの勢いに負けたレオンは、銃の撃ち方、狙いの付け方、ドアの開け方まで教えていく。

麻薬捜査官スタンフィールドの居場所が麻薬取締局であることを知ったマチルダは単身取締局へ乗り込む。

そのことを知ったレオンはマチルダ救出に向かい彼女を助け出すが、結果から居場所を知られてしまう。

レオン、マチルダを葬り去ろうと画策するスタンスフィールド。

スタンフィールドは配下のSWATを動員して二人のアパートを包囲する。

激しい銃撃戦。

レオンはマチルダを脱出させ、自らも負傷したSWATになりすましアパートからの脱出を試みる。

しかし、脱出寸前にスタンスフィールドに見破られ、後ろから撃たれ倒れるレオン。

息絶える寸前、レオンはスタンスフィールドに「マチルダからのプレゼントだ」と、手のひらをスタンフィールドに見せる。手のひらには丸いピンが。

スタンスフィールドが、それは手榴弾から抜いたピンだと気づいた瞬間、大爆発とともに二人は吹き飛ぶ。

一人残され、以前いたことのある寄宿学校に戻るマチルダ。ラスト、彼女はレオンが愛情を注いでいた鉢植えを庭に植え替え、エンドロール。


『レオン』完全版・感想考察

レオンのファッションが今見ても新鮮

頭には小さな帽子。タンクトップに重装備革製ホルスター、コートをはおり、パンツと言わずにあえてズボンといいたい、短めでどこか間抜けな足元のレオンのいでたち。

公開当時、今までの殺し屋イメージをガラッと変えたファッションがすごく新鮮に映ったことを覚えています。

歩き方も全然サッソウじゃなく、どこかヨタヨタしている感じがヨイです。

レオンとマチルダが2人並んでニューヨークのストリートを歩くシーンが2度ほど登場します。

そのシーンのレオンの歩き方だけでも「これまでレオンはどんな孤独な生き方をしてきたのか?」が暗に説明されています。


ソファに座り眠るシーンも印象的

レオンの生き方を象徴するシーンは、歩き方の他に他にもあります。

それは部屋で電気を消して眠るカット。

仕事を終えた日に眠る時、レオンはベッドではなくソファに座ったまま電気を消します。傍には拳銃を置いて。

それは昂った神経を鎮めるためと、殺した相手の仲間の復讐を想定しての「ソファ座り寝」なのでしょう。


殺し屋レオンの日常とは?

そんなちょっとしたカットからは、レオンがどんな日常を送っているのか?どんな生き方をしてきたのか?が垣間見えます。

レオンのセリフには「孤独」とか「今日の仕事はきつかった」なんてコトバは一切出てきません。

でも、ぎこちない歩き方や、ソファでサングラスを外さないままに照明を消す、、、というシーンを見せることで、レオンの内面を見せています。

それって、すごくないですか?ぼくは「うまいなあ…」と思いました。

レオンに見るアウトロー考察

某男性誌の名前にパクられる(パクったのではないかもしれないけど、映画好きはほぼパクったと思っているはず、いい意味で)ほど、レオンは大ヒットしました。

「ちょいワル」なんて言葉も元を辿れば多分『レオン』に行き着くんじゃないか?と、ぼくは推測しています。

『レオン』が日本で大ヒットした背景には、「生き方がヘタで、社会(会社や組織)とうまくやっていけない症候群」が絡んでいるように思えます。

公開されたのはバブルが弾けたあとです。

「友達もいなくて、頼るのは自分のスキルだけ。組織に属さないで、大人だけど子供のよう。」

イケイケが敗れ、24時間戦ったあげくに目の前にあったのはカラッポな世の中。

ほとほと疲れ切った日本人のココロに染み込むには、レオンはパーフェクトキャラだったと思うのです。

殺しのテクを除けば、ココロは純粋でしゃべりもボクトツ。女の子に話しかけられるとドギマギ。でも愛を自分なりの表現で貫くアウトロー。

アウトローの部分を除けば、まさしく草食系。

そういえば、草食系男子なんて言葉が出てきたのも『レオン』公開のあとですね。

ことほどさように当時の世相にドンピシャハマったのが『レオン』だったと思うのです。

映画館で観た男子は、ほぼみな同感したんだと思います。映画好きな男子、基本はレオンのように優しいですから…。


マチルダ役ナタリー・ポートマンの泣き顔に泣く 

少女マチルダは今で言うなら「児童虐待」を受けていた女の子です。公開当時は今ほど「虐待」がニュースになっていなかったか、なっていても今ほど多くはなかったのでしょう。マチルダが虐待児童とはピンときませんでした。

完全版を2024年に見てぼくはこう思いました。

「公開当時はマチルダのココロをよくわからずに見ていた」と。

虐待を受けた子供の心理って、複雑なんだと思います。

マチルダは大人びた言葉をしゃべり、突飛な行動をとりますが、それらは多分に虐待を受けていたことのカムフラージュだったのでは?と、完全版を2024年に観て感じました。

そして、改めてマチルダの「泣き顔」が心に訴えてきます。「少女の泣き顔」ってほんと純粋。マチルダの心の奥底にかくされた美しさは、泣き顔に出ています。


ゲイリー・オールドマンの時代を超えた悪役ぶり

スタンフィールドを演じたゲイリー・オールドマンのいかれまくった演技表現は、何度見てもすごいです。すごいという言葉を使っちゃうとあとがなくなるのですが、ホントに超絶すごい。

麻薬取り締まり局に乗り込んで行ったマチルダをトイレで待ち伏せするスタンフィールドの怖さは映画史に残りますね。

 

また、スタンフィールドがキレるシーンを撮るカメラアングルもすごい。キレるシーンをま俯瞰から狙ったり、、、「こんなアングルで撮っちゃうのか!」と感服しちゃいます。


クライマックスのレオンの叫び

レオンのアパート襲撃シーンで、レオンは初めて感情を爆発させます。そのシーンでレオンが発する叫び声のなんと生々しいこと!

ギリギリまで追い詰められた野獣が発する咆哮です。

その後をつなぐジャンレノの顔のアオリドアップショットが強烈です。

このクライマックスの見せ方はアメリカ映画にはないフランスメイドの「熱」です。

過去どんな映画にもなかった「叫び声」と「クローズアップショット」ですよ。

(この「熱」は『エイリアン4』のフランス人監督ジャン=ピエール・ジュネにも受け継がれています。『エイリアン4』は別記事で取り上げています)


最後にレオンが見た風景

これもネタバレになりますが、レオン、アパートから脱出なるか?のシーンで、カメラが揺らぎ、スローモーションで地面に横たわる視点があります。

もちろんこれはレオンの視点です。

要はスタンフィールドに後ろから撃たれた、ということを解説するためのカットなのです。

銃声なしで、レオンの見た最後の風景をどう表現するか?揺らぎくずおれるようなカメラのの演出をなぜしたのか?

その「なぜ?」に対する僕の考察はこうです。

主人公の死をあえて文学的トーンで表現したかったのではないか??

言葉の国フランス生まれの監督らしい演出だと僕は思っています。


『レオン』完全版〜ぼくの評価は?

細かなところまで実に気を配り作られた映画だと思います。レオンとマチルダ、小児性愛でしょう?という問題は確かにあります。しかしやはり、『レオン』は面白い映画です。

それは最後にも書きましたが、映像や脚本が文学的センスに溢れているからだと思います。

「児童虐待」を受けて家族から阻害され生きてきた女の子「マチルダ」のドラマと向き合うことで、完全版『レオン』は、公開時に見た時とは異なり、かなりセンチメンタルな映画でもありました。

僕の評価は星四つです。いい映画をありがとうございました。






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