こんにちは、映画好き絵描きのタクです。今日のレビューは、『終わらない週末』(2023年公開・アメリカ映画・Net Flix製作)を取り上げます。
ネットで評価を見ると「わかりにくい」という口コミもありますね。なので、「このシーンはこんな意味があるのでは?」「あのカットに隠されたメッセージは?」など、ぼくなりに考察レビューしてみます。(感想考察には一部ネタバレも含まれますので、ご了承ください)
『終わらない週末』解説
出演はジュリア・ロバーツとイーサン・ホークが夫婦役、「グリーンブック」のマハーシャラ・アリの他、「フットルース」「インビジブル」のケビン・ベーコン、ほか。
脚本・監督は映画「コメット」やドラマシリーズ「ミスター・ロボット」のサム・エスメイル。そして映画付きとしても知られるあのオバマ元大統領夫妻もエグゼクティブプロデューサーとして参加。原作はルマーン・アラムの同名小説です。
ニューヨークブルックリンに暮らす広告レディ大学教授一家が夏のバカンスに出かけたロングアイランドで、とんでもない異変、じわじわと巻き込まれていきます。その異変は次第に戦争が始まったことを匂わせます。異変の中で家族はどう行動するのか?
戦争が始まった時、普通の人々は多分、こうなるんじゃないか??…という独特な視点のスリラーです。
監督:サム・エスメイル
キャスト:アマンダ/ジュリア・ロバーツ クレイ/イーサン・ホーク ローズ/ファラー・マッケンジー アーチー/チャーリー・エバンズ G.H.スコット/マハーシャラ・アリ ルース/ミハーラ ダニー/ケビン・ベーコン
オープニングに要注意!
「意味がわからない」「おもしろくない」という口コミ評価も散見される『終わらない週末』。
オープニングのタイトルバック映像からして、もう、クセありです。
めちゃくちゃクリエイティビティの高いアニメーションのその映像には、実は映画『終わらない週末』のストーリーをきちんと暗示して、映画を楽しむヒント=キーワード=「覚えておくといいよ!」が隠されているのです。
同時に「この映画は、二度見オススメ!」とほのめかしてます。(オープニングだけを再見するのもオススメです)
「どんな映画だったのか?一言で言ってよ!」と問われたら、
「これまで観たこともなかった、誰も考え付かなかった、いっさい戦場の描かれない斬新な戦争映画」
とぼくは答えます。
できれば二度見すると「そうだったのか!」となる映画ですが、でも、二度見する時間ある人って、そうそういないですよね。
そんな方のためにも、『終わらない週末』をぼくなりに考察してみたいと思います。(映画のネタバレ結末までのあらすじは最後にまとめました)
『終わらない週末』予告編
10秒でわかるストーリー紹介
まずは超簡単に、10秒でわかるあらすじを書きます。
1.週末を過ごそうと別荘を借りた主人公一家の元へ、家の持ち主がやってきます。
2.その持ち主から語られるのは、世界が混乱に陥っているようだ…という信じられない言葉。
3.タンカーや旅客機がコントロール不能となり、その混乱がエスカレートしはじめます。
4.主人公たちは謎めいた混乱の中、疑心暗鬼に包まれつつ足を踏み入れたその先には、驚愕の結末が…
というストーリーです。
『終わらない週末』あらすじは?〜ネタバレあり
では、もっと詳しくあらすじを知りたい方のためのあらすじ紹介です。ネタバレとなりますので、ご自身の判断でご覧ください。
舞台はニューヨーク。
主人公は四人家族だ。
アマンダ(ジュリア・ロバーツ)は広告プランナー。
夫のクレイ(イーサン・ホーク)は大学教授。
そして息子のアーチー(チャーリー・エバンズ)と末っ子のローズ(ファラー・マッケンジー)。
中流ちょっと上のどこにでもいるような家族だ。
アマンダはある日突然、家族に休暇に出ようと申し出る。
戸惑う夫クレイだが、滞在先別荘はすでに押さえていると勢いに気押され、ニューヨーク近郊の一軒の豪華な家に休暇に出かける。
休暇はごく普通の日々のように始まるが、遊びに出かけた砂浜へ、巨大なタンカーが座礁してくる。
何かがおかしい。
夜、ひと組の親子がドアを叩く。
彼らはG.H.スコット(マハーシャラ・アリ)と娘のルース(ミハーラ)と名乗り、アマンダたちが滞在している家のオーナーだという。
突然の来訪に怪訝に思い、信用しないアマンダ。
しかしクレイは逆に二人を信用し、彼らを家に招き入れる。
G.Hは、市内が原因不明の停電で混乱し、スマホも通じないと明かす。
市内に持っているアパートに帰れないため、1000ドル払うので泊めてほしい、と願いでる。
それでも疑いを持つアマンダ。
そんな時、テレビに非常事態の政府通達が映し出される。
何が起こっているのか??
疑心暗鬼のアマンダとクレイに対し、G.Hは実はアナリストであることを打ち明け、国を動かしているトップにクライアントがいること。そしてそのクライアントが資産保全に走っていることをつげる。
クレイは様子を見るために車を郊外へと向かわせるが、ヘリからばら撒かれる謎の赤いチラシを入手する。
それは戦争勃発を仄めかすプロパガンダのチラシだった。
一方G.Hも衛星電話を持っている知人の家を尋ねるが、もぬけのカラだ。
衛星電話を見つけるが、役に立たない。
さらには知人宅のそばの浜辺で、旅客機の墜落に遭遇。
何らかの危機が迫っていることを、G.Hは確信する。
同時に、末っ子のローズは、別荘の敷地のはずれに鹿の群れを目撃し、奇妙なことばを言い始める。
そんなさなか、奇妙な超高周波のノイズが皆を襲う。
その後、息子のアーチーは、前歯が抜け、挙句に血を吐く。
一体何が起きているのか??
クレイとG.Hは息子を連れ、医薬品を手に入れるべく近居の住人ダニー(ケビン・ベーコン)を尋ねる。
しかしダニーは、戦争が起こっていること、それゆえ家族を護ることが第一だとショットガンを手に敷地から出ていくよう警告する。
G.Hとクレイはチャーリーの命を助けてほしい一心でダニーを説得し、1000ドルでわずかな薬を手に入れる。
車の中で、G.Hはクレイに、アナリストとして知っている全てを話す。
それは新しい戦争の始め方=新しい国家転覆の方法だった。
アメリカは他国によって新たな方法で侵略をされたのではないか?と言うのだ。
G.Hがクレイにそんな話をしている、まさにその時、アマンダとルースは、姿が見えなくなったローズを探しに分け入った森で野生の鹿の群れに囲まれる。
鹿の群れに圧倒され、叫び追い払うアマンダとルース。
一体何が起こっているのか?
「心に根を張っていた恐れ」は、二人がある光景を目にし明白になる。
二人が目にしたその光景とは???
というあらすじになります。
『終わらない週末』あらすじ・ネタバレ結末ラストまで〜閲覧注意!
以下はラストまで完全ネタバレとなりますので、映画を観る方はスルーしてください。
森の中に佇む二人の目線の向こう、ニューヨークにキノコ雲が立ち昇っている。
あちこちで上がっている爆撃のような煙。
愕然とするアマンダとルース。
週末からの奇妙な出来事の連鎖は、G.Hが危惧していた国家崩壊=戦争だったのだ。
ニューヨークをロングで捉えたカメラが引くと、映し出されるのは、森の中に立つ一軒の豪邸。
家の中には無邪気にスナックをかき込むローズの姿が。
何者かに誘われるように地下におりるローズ。
地下室は、核攻撃から逃れ何年も暮らせるような核シェルターだった。
シェルター内のモニターに映し出されるのは、「ならずもの部隊が首都を攻撃。放射能反応あり。直ちに避難せよ」といった意味の政府からの緊急発信だ。
しかしローズは、そんなモニターには気にも留めない。
ローズの目に止まったのは、テレビの傍にあったDVDのぎっしり詰まった棚だ。
その中に見たかったテレビドラマDVDを見つけ、ローズは嬉々として見始める。戦争が起こっていることなど、何も知らずに。
エンドロール
以上が結末ラストまでです。
『終わらない週末』考察
考察1〜この映画は隠されたキーワードを読み拾う「宝探し」
『終わらない週末』の口コミに「意味がわからない」「おもしろくない」といったマイナス評価も見られます。
確かに、「ながら見」してしまうと、そんな評価になる映画だと思います。
確かに「綺麗スッキリわかりやすいストーリー展開の映画」とは言えません。
ストーリーの枝葉がさりげなくセリフの中に隠されたり、
物語の手がかりヒントが、画面の中の色彩に隠されていたりする独特の映画です。
でも、でも、逆にぼくは、隠された宝を探しているような感覚を持てて、すごい映画だ!と感じました。
では「どんなところがすごかったのか?」を、5つの考察でお伝えしていきますね。
考察2〜登場人物「それぞれの見ている世界」を描きだしています
6人の登場人物のそれぞれの「見ている世界」を物語に置き換えている、と言う点です。(う〜ん、わかりにくい言い方ですね)
「この映画は、他の映画と違うんだよなあ、、、どう違うんだろう、、、??」
と、疑問が解けずに二週間ほど考えていました。
二度目に観て、ぼくなりの答えが出ました(間違ってるかもしれんけど)
それは6人=6人が感じたことが同時進行する映画だということ。
映画のシーンが、ある時はアマンダの心で描かれ、ある時はH.Gの心で描かれる…そんな感じ…とぼくは感じました。
その鍵になるのが画面においてバックの小物や服で使われる色彩です。
アマンダの心の物語は「青」が主題として使われています。
G.Hの心の物語では「茶系」。
主題がルースの時は背景には「オレンジ」のものがあしらわれています。
多分、制作陣は色彩に6人の主題を象徴させたのでは??と、これはぼくの深読みです。(間違っているかもしれませんが)
考察3〜なぜ黒いタンカーが赤って言われたのでしょう?
劇中、誰だったかな、ちょっと忘れましたが、浜辺に乗り上げてきたタンカーのことを「赤いタンカー」というシーンがありました。
映画を見てもらうとわかるのですが、そのタンカーの色は「黒」です。
しかし、乗り上げてきた船腹の喫水線(船の水の下に隠れる部分)が赤なのですね。
普通なら「黒いタンカー」というはずなのですが、そうは言わずに「赤いタンカー」と言わせています。
そのセリフが何を暗喩しているか?
「人は見たいものしか見ていない」
「登場人物6人には、混乱しつつある世界がそれぞれ違ったように見えている」
ということを示している。
この考察はあくまでぼくの考察に過ぎません。
しかし、「6人それぞれに見えている世界を時間軸に沿って見せていく」と考えると、映画『終わらない週末』の奥に、別の世界が広がってきました。
「世界は一つと見えつつ、実は誰もが全く違った世界を見ているのだ」と、ぼくは以前から思っていました。
なので、タンカーの色の違いをセリフに聞いた時、この映画の本質が見えた気がしました。
考察4〜『終わらない週末』は戦争映画なのです
『終わらない週末』はどんなジャンルの映画なのか?と問われたなら、ぼくは「戦争映画です」と答えます。
戦場のシーンは出てきません。戦争のことだって直接は語られません。
ですが、普通の人の日常において「戦争が起こる」って、多分『終わらない週末』で描かれた世界のような気がします。
「一体何が起こっているのかがわからない」世界が延々描かれるのですが、実際に国が攻撃されたとしても、多分このドラマのような反応になるんじゃないかしら…と、ぼくは思いました。
なので、ぼくは、『終わらない週末』は過去にはなかった新たなタイプの「戦争映画」だ、と感じています。
戦争はひたひたとやってくる….その怖さが十二分に、シュールに描かれています。
以下に「戦争の足音」を一発で表現しているセリフがありましたので、書いておきます。H.Gのセリフ、「コスパの良い国の崩壊のさせ方」です
H.Gの語る「コスパの良い国の崩壊のさせ方」
『終わらない週末』の後半、H.Gがセリフとして語る、「コスパの良い国の崩壊のさせ方=戦争のはじめ方」は、心底ぞくっときます。
H.Gは「政府を内部から崩壊させるには三段階の作戦がある」と語ります。
第一段階は、サイバー攻撃による通信と交通の無効化。
第二段階は、カオスを作り出すこと。敵が見えないカオス蔓延によって、国民は互いに敵視する。
第三段階は、第二段階の結果、クーデター・内戦が自然に起こる。そして崩壊へと向かう。
H・Gはさらにこう言います。
「この三段階を仕組むことが、国を揺るがすのに最もコスパのいい作戦だ。目標の国家が機能不全になれば、あとは望み通りさ」
映画の中で、主人公たちが抱く「何が起こっているんだ??」に対する答えがH・Gの語る言葉にあります。
フィクションとはいえ、ざわっときました。
考察5〜斬新すぎるカメラと色彩の持つ意味は?
『終わらない週末』はカメラが斬新です。
ぼくがこの映画を最後まで目を離せなかったのは、もちろんシナリオのパワーもありますが、多分にカメラの威力だ、と思っています。
静かなカメラではあるけれど、アングルやカメラ位置など、ハッとするカットつなぎがとても印象的でした。
「この映画のカットにはね、きちんと意味があるから注意して観ててね」と、暗に言われ続けていたように感じています。
考察6〜なぜ人物キャラと色彩をリンクさせたのか?
先にも書きましたが、最も印象的だったのは、登場人物ごとに決められた背景小物のカラーリングです。
アマンダ=「ブルー」。
G.H=「ブラウン」。
ルース=「オレンジ」。
思い過ごしなのかもしれないけど、ぼくの中では、思い過ごしとは思えないほど、人物それぞれのテーマカラーが心に迫ってきました。
カラーの配置は「このオレンジが配置されているシーンは、ルース主題だからね」
「同じ状況でもその人その人で見ている世界が違うんだよ」という隠れメッセージなのだと、ぼくは受け取っています。
「シーンの主役」ごとに、背景に異なる人物カラーを配置した細かさに、ぼくは拍手していました。(ぼくの深読みしすぎかもしれないけど)
考7〜アマンダとクレイが興じていたジェンガの意味
映画の前半早いところでアマンダとクレイが積み木遊びのジェンガに興じるシーンがあります。
そのジェンガシーン、何気なく感じるかもしれませんが、ラストまで観るとそのシーンには深いメッセージが込められていたことがわかります。
平凡な日常は、実はとてつもなく奇跡的に均衡が保たれているにすぎない、、、という暗喩です。
そんな意味も、ぼくは二度目に見直した時にようやく受け取ることができました。
まとめ〜観客に、疑問を抱き考えることを強いる『終わらない週末』
最近、起承転結をはっきりさせず、また伏線もわかりやすい回収をせずに、あえて観客に「さて、あなたはどう思いますか?」と問いかける映画が多くなっているように思います。
この『終わらない週末』も明らかにそんなタイプの映画の一本です。
芸術において絵画や音楽ではその「あなたはどう感じたか?」が当たり前の世界ですが、映画でもそのような制作者と受け取る側の自由な考察キャッチボールができる映画が増えてきました。
映画というジャンルは、20世紀においては芸術とは距離を置いた「娯楽=エンターティメント」でした。
しかし、21世紀に入り、受け取る側に「疑問」を持たせたままエンドクレジットがおりるというスタイルが出てきたことは、非常に芸術的になったのではないかと思います。
芸術作品の役割には、受け取る側に、さわつきや、疑問を感じさせる、という一面があります。
そういう意味で『終わらない週末』はエンターティメントという顔を持ちながら、非常に芸術的な作品なように、僕は思っています。
大事な考察〜登場する謎の「鹿」の意味
『終わらない週末』の中で、突如、野生の鹿が登場します。
これ、製作陣から観客に「みなさん、鹿をどう意味づけますか?」って、投げかけられた、答えのないクエスチョンだと思っています。
なので、「なぜ鹿が登場したのか?」への、ぼくなりの考察を書いておきます。
+ + +
鹿は、バンビに例えられたりもするかわいらしい動物ですが、実は世界のあちこちの民俗伝承で「神の使い」として捉えられている存在です。日本に伝わる民俗芸能「鹿踊り」はまさにその一つのカタチです。
映画で暗に描かれる「戦争勃発」は、言葉を変えて言えば、「人間の究極のエゴのぶつかり合い、そして理屈を考えてしまう人間の所業」です。その所業の対局にあるのは「大いなる存在=神」だと僕は考えました。その「神の象徴」として「鹿」を登場させたのでは??とぼくは考えています。
登場人物たちは、それぞれにそれぞれの「価値観と理性」を働かせて考えます。しかし、忍び寄る現実を前にしてどうにもなりません。
どうにもならない状況で救いとなるものって、多分「大いなる存在」=「神」ではないでしょうか。実際、人間って、どうにもならないときには「神に祈る」ことしかできません。
「鹿」はそんな「大いなる存在の無言の導き」として登場しているのではないか?と、ぼくは感じていました。
なぜ、そう思ったか?
そう思った理由は、末っ子のローズの言動です。
ローズは鹿と出会ってから奇妙な言動をします。
ローズの「奇妙な言動」に、ぼくは世界中に今もなお存在しているシャーマンを感じていました。
シャーマンとは、神霊、精霊といった超自然的存在と交信する特殊能力を持つされる人たちです。(詳しくはこちら)
登場人物の中で最も幼く、最もシンプルな行動をとっているのがローズです。子供って元々大人より神に近い存在だと、ぼくは感じています。
そんなローズの持っているシャーマンとしての隠れた才能=神性=が鹿と共鳴した、、、と、これがぼくの鹿の登場への深読み考察です。
もちろん、間違っているかもしれませんし、他の考え方見方があってもいいと思っています。
でも、ぼくが映画の中で最も深く印象に残ったシーンは、鹿たちが現れる一連のシーンでした。
大事な考察〜オープニング映像に隠された大きなヒント
オープニングタイトルバックが、めちゃくちゃクリエイティビティが高い…と冒頭で書きました。
映画に登場するツールやモノがシルエットで流れ、シンプルな図形にメタモルフォーゼしていきます。
そのアニメーション映像が何を意味しているのか?そのクエスチョンに対するぼくなりの答えを最後に書いておきます。
映画を最後まで見た後に、もう一度オープニングアニメーションを見て、ぼくはハッとなりました。
シルエットで描かれる劇中登場ツールは、ショットガンや鹿、人工衛星といったいわゆる「具象画」です。
それらが徐々に図形化され変形=メタモルフォーゼしてゆき、「これ以上シンプルに表現できません!」というレベルの図形までいわゆる「抽象化」されます。
映画で描かれるのは主人公たち目線での身の回りの出来事であり、それは分かりやすい具象絵画のようなものです。
しかしそれらを深く広く考えることで「戦争」という大きな現実がじわじわと現れてきます。これが目に見えない真実です。目に見えないものを何かのカタチに置き換えること、すなわち抽象化。
ぼくは二度目見たオープニング映像から「目の前の世界を見たままでは、何もわからない。出来事を抽象化することで別の世界が見えてくる」というメッセージを受け取りました。
ぼくがイントロに「二度見推奨」と書いた理由はそこにあります。
『終わらない週末』まとめ
家の地下にあるシェルターのこと
クライマックスで別荘の近所のソーンズ家に忍びこんだローズが、地下シェルターを発見します。このシーンは圧巻でした。
アメリカの富裕層が自前で自宅地下に核シェルターを作っているという話は聞き知っていましたが、映像として見たのははじめてでした。もちろん映画ですからフィクション〜美術陣の作品なわけですけど、当たらずとも遠からずなのでしょうね。何年も地上に出ずして生きていける環境がシュールでした。
『終わらない週末』ぼくの評価は?
俳優陣のセリフと演技が決して派手ではないですが、確実に次へと引っ張っていき、最後まで一気見でした。
一回目の鑑賞で全てがわかったとは、正直言えませんでした。けれど二度目の鑑賞で、わからなかったところが腑に落ち、「これはカタチ変えた斬新な戦争映画だ」と思ったのが、大収穫でした。
『終わらない週末』からぼくが受け取ったメッセージは
「人は見たいところしか見ない(見えない)生き物だ」です。
映画に新たな光を見た気がしました。
ということで83点。
北朝鮮と中国という仮想敵国を設定したところが、いかにもアメリカでちょっとヒキました。
でも、ジュリア・ロバーツ、イーサン・ホーク、マハーシャラ・アリの演技はめっちゃくちゃ良いです。制作にも名を連ねているジュリア・ロバーツの「良心」もしっかりと感じました。
『終わらない週末』配信は?
Netflixのみで無料配信中です。(2024年1月現在)
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