ムービーダイアリーズ、今回取り上げる映画は『パッセンジャー』。2017年日本公開。アメリカ映画です。
宇宙を進むどでかい宇宙船でシステムトラブルで人口冬眠から起こされた一人の男が、冬眠ポッドに眠る美女に恋をしました。
『パッセンジャー』は、してはいけないアクション(ヘンなエッチなコトではないよ)を起こしてしまった男と、起こされた女のドラマです。
そしてその宇宙船はエンジントラブルを抱え、大きな危機が迫っていました。
広大な宇宙と時間の中、ポツリと取り残されたような孤独感と、ふたりの間によこたわる絶望と愛、そして許しに満ちた116分をレビューしてみます。
『パッセンジャー』予告編
『パッセンジャー』解説
以下、映画.comさんのサイトより解説を転載します。
「ハンガー・ゲーム」「世界にひとつのプレイブック」のジェニファー・ローレンスと「ジュラシック・ワールド」のクリス・プラットが主演を務め、宇宙船内で極限状態に置かれた男女の愛と運命を描いたSF大作。20XX年、乗客5000人を乗せた豪華宇宙船アヴァロン号が、新たなる居住地を目指して地球を旅立ち、目的地の惑星に到着するまでの120年の間、乗客たちは冬眠装置で眠り続けていた。しかし、エンジニアのジムと作家のオーロラだけが予定よりも90年近く早く目覚めてしまう。絶望的で孤独な状況下で生き残る方法を模索するうちに、2人は惹かれ合っていくのだが……。「イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密」のモルテン・ティルドゥム監督がメガホンをとり、「プロメテウス」のジョン・スパイツが脚本を手がけた。
『パッセンジャー』あらすじ
宇宙を大型宇宙船『アヴァロン号』が進む。
目的は他惑星への移民。
乗っているのは、ポッドに収まり人工冬眠している乗客5000人だ。
惑星到達は120年後。
出発から約30年。
小惑星帯を通過するときに生じたトラブルで、主人公のジムの入った冬眠ポッドだけが誤作動、ジムは予定外に目覚めてしまう。
アヴァロン号の惑星到着までは、まだ約90年ある。
それを知り、愕然とするジム。
様々な打てる手を打つジムだが、90年、一人だけで船内で過ごすことが避けられないことを知る。
唯一の会話の相手は、船内のカクテルバーのカウンターの向こうで酒を作る、アンドロイドのバーテンダー、アーサーだった。
ただただ時間だけが過ぎていく絶望の船内、ジムは次第に自暴自棄になってゆく。
ある日、ジムは冬眠ポッドで眠る一人の女性に惚れてしまう。
オーロラだ。
彼女の仕事は作家だった。
オーロラを起こす欲求にかられてしまったジム。
日に日にジムの思いは強くなり、冬眠ポッドを開ける気持ちに駆られる。
しかしそれはオーロラをも孤独の世界にひきずりだすことだ。
葛藤するジムだったが、あまりの孤独に堪えられず、ついにオーロラの冬眠ポッドを起動、オーロラを目覚めさせてしまう。
茫然自失となるオーロラ。
ジムはいきさつを隠し通し、惚れたオーロラに優しく接する。
オーロラは唯一同じ状況を共有し、自分を大切にしてくれるジムに惹かれていく。
二人が恋人同士となり1年が過ぎた。
ある日、バーテンアンドロイドのアーサーは、オーロラに対して、ジムが故意に彼女を目覚めさせたことを口にする。
愕然とするオーロラ。
ジムはオーロラへ謝罪するが、オーロラは許すはずもない。ジムを完膚なきまで突き落とす態度で無視するオーロラ。
2人の仲は修復などできないほど壊れてゆく。
そんな中、アヴァロン号のシステムトラブルが多発しはじめ、もう一つの冬眠ポッドから一人の男が目覚める。
その男はアヴァロン号の操舵権限を持つ甲板長ガスだった。
『パッセンジャー』あらすじ結末ラストまで〜閲覧注意!
トラブル多発は危機的だった。
ガスと共にコントロールルームへ入るジムとオーロラ。
多発するトラブルの原因は、ジムを起こした小惑星群との衝突が遠因だったことがわかる。
それ以上に問題が発覚する。
宇宙船の推進エネルギー源の核融合炉が暴走寸前だったのだ。
ガス指導のもと問題解決を図る不仲の二人、ジムとオーロラ。
しかしガスは冬眠ポッドの生命維持装置トラブルが原因で身体がいくつもの病に蝕まれ、命を落とす。
2人は核融合炉の修復に取りかかるが、一人が船外に出て作業をしなければ修復が完了できないことがわかる。
それは、命を捨てることも意味していた。
ジムがその役を担うことをオーロラに話す。
絶望的な危機は、2人を再び結びつけていた。
ジムに、必ず戻ってくるよう懇願するオーロラ。
しかし船外作業はジムの命をも奪ってしまう。
オーロラは諦めずにジムを連れ戻し、ガスから譲り受けた全権アクセスキーを使い、ジムの蘇生措置をとる。
息を吹き返すジム。
その後、2人の関係は暖かな関係へと戻る。
88年後。
アヴァロン号は何事もなかったように宇宙を進む。
移住惑星まであと5ヶ月。
乗組員の冬眠ポッドが起動し、目覚めた乗組員たち。
彼らが宇宙船のフロアで見たものは、緑に包まれた宇宙船ラウンジだった。
一本の巨木が宇宙船の中心に根をおろしていた。
それはジムが植えた木、そしてジムとオーロラが育て上げた一つの宇宙でありネイチャーだった。
エンドロール。
『パッセンジャー』感想
つかみはジョークのような設定でマル
オープニングからドドーンと宇宙船が出てきます。
「人類は宇宙植民地に向かう途中」というテロップも出てきます。
なので、確かにジャンルを分けるならSFです。
そう、確かにSFなんだけど、この映画、SFくさくないんですよ。
主人公が冬眠ポッドトラブルでみんなより何十年も前に目覚めてしまい、「ウッソ!冗談だろ!?」というシチュエーションから始まります。
「冗談はよしてくれ」のあとには「頼むぜ、なんとか元に戻ってくれ!」と、主人公必死になんとかしようと四苦八苦します。
でも、ダメ。誰も起きないし、自分も再び冬眠に入れない。
さあ、そんなふうに、宇宙船でボッチになったら、あなたならどうしますか??
と、ついどっぷりとオープニングから感情移入して観ていました。
こういう絶望的オープニングはなかなかみたことありませんから、ハナマルでした。
ステキな彼女が眠っていたら
さあ、そんなオープニングからひとりぼっちの孤独な状況におかれた主人公のジムですが、あろうことか、「眠れる森の美女」ならぬ「眠れるポッドの美女」に惚れてしまう。
いや、あろうことかどころか、絶対有り得る展開だと思いますよ、世の男子なら。
そもそも男なんて弱っちくも、孤独に滅法弱い生き物です。
ジムと同じシチュエーションに置かれたら、やっちまいかねないですよ、タイプの女性眠る冬眠ポッド強制解凍。
もちろん、ジム自身、そんなことイケないことだとはアタマでわかってるんだけど、もう孤独感絶好調のジムは、心の中のもう一人の自分の声に、負けてしまう。
明らかにルール違反ですよ。道徳的にもNG、いや、犯罪行為です。
でも、人間の心って割り切れるもんではないですよね、、、。
アンドロイド・アーサーの絶妙感
そんなふうに孤独でたまらなく、心を許す相手が居ない宇宙船内部で一人だけ話す相手を見つけます。それが、カクテルバーのバーテン、アーサーです。
このアーサーとジムの受け答えがイイ。
アンドロイドゆえ、人間のように心のゆらぎが無いセリフが次々繰り出されますが、なぜか妙に心地よい。
同時に、人間ならではの「阿吽の呼吸感」は全く持ち合わせていないことによる危うさがドラマに加わってきます。
その「ヤバそう」という感じがいいです。
ちなみにアンドロイドがカギを握る映画として有名な映画は『エイリアンシリーズ』がありますね。こちらもアンドロイドと人間との微妙なズレが緊張感を生んでいます。
(当サイトでもレビューしています)
オーロラ演じるジェニファー・ローレンス千変万華
『パッセンジャー』は登場人物、実質4人、それも、宇宙船という閉鎖空間です。
中でも劇の「起承転」までは、オーロラとジム、たまにアンドロイドアーサーの3人だけで話がすすみます。
となると、大事になるのは、役者の演技力ですよね。
特に、オーロラ役のジェニファー・ローレンスの演技はミモノですよ。
ぼくはジェニファー・ローレンスって知らなかったんですが、いやはや、ただの美人アクトレスじゃないです。人の心の動きや揺れ、変化の演技が超絶です。
稀代の名女優だと思います。…と思って調べたところ、やはりでした。
22歳でアカデミー主演女優賞取っていますし、ある監督からは「メリル・ストリープの再来だ」とまでいわれてます。
ネタバレになりますが、ドラマは後半、急展開をします。その急展開の仕方は、ジムが故意にオーロラのポッドを開けてしまったことがバレるという、孤独感が強まる様な展開です。
どう考えたって、宇宙的スケールで二人は修復不可能だろ?と、誰もがおもいます。
その時のオーロラとジムの演技のぶつかり合いは、それは痛いほどです。
『パッセンジャー』は、二つの心がぶつかり合い、壊れてしまい、でも最後は修復するという、2人の心の再生のドラマなんですね。
かつて、「もーダメだ、修復不可能…」という様々ないシチュエーションに陥ったことがある方ならば、みてソンはない映画の様に思います。
宇宙船の危機を乗り越えた2人はどうなった?
クライマックス、宇宙船の推進装置はジムとオーロラの決死の処置により、ことなきを得ます。
この原因は、もともと宇宙船が小惑星帯の中を突き進んだ時の衝撃にあるんですけど、結果、2人だけ冬眠から解除されてたジムとオーロラ
がエンジンを直すしかなかったんですよね。
その行為がしかし、絶対にジムのことを好きになる方はあり得ない!と心に誓っていたオーロラの心を溶かします。
人の心って、ホント、わからないものですよね。
「絶対許せない!」という頑なな思いが、何かの衝撃でヒビ入ったり、「どうなったっていいさ、、、」と自暴自棄になってた心が、何かの拍子に穏やかになったり。
『パッセンジャー』では、そんな心の揺れ動きを表現する主役2人のパワフルな演技力で、ドラマをクライマックスまで引っ張ります。
この映画で描かれるメッセージは、「人をコントロールすることの醜さ、危うさ」。そして「自己を捨てることが生みだす奇跡」なのだと思います。
映画を観る観客皆がそう受け取るかどうかはわかりません。が、少なくともぼくはそう受け取りました。
『パッセンジャー』ぼくの評価は?
星4つ🌟🌟🌟🌟。
「2人いれば、なんでも乗り越えられる!」とも思わせる映画です。ベタって言えばベタかもしれないけど、いいじゃないですか♡その感じ!ぼくは、好きです。
ジェニファー・ローレンスの演技の凄さに惹かれて、二度見してしまいました。
『パッセンジャー』スタッフ・キャスト
◾️監督:モルテン・ティルドゥム
◾️脚本:ジョン・スペイツ
◾️キャスト:
ジェニファー・ローレンス(オーロラ・レーン )
クリス・プラット(ジム・プレストン)
マイケル・シーン(アーサー )
ローレンス・フィッシュバーン(ガス・マンキューゾ )
アンディ・ガルシア(ノリス船長)←ほんの一瞬しか出てきません。なんでクレジットにばりっと出ているのか謎、、、なくらい一瞬。
『パッセンジャー』配信先
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