第二次世界大戦末期、ソ連の満州侵攻で多くの日本人がシベリアの捕虜強制収容所「ラーゲリ」へ送られました。辺見じゅん原作のノンフィクションを映画化。前評判いい感じだったので、みてみたいと思っていました。
収容所テーマの映画は多数ありますが、そういえばよく観るのはナチスドイツの収容所ムービー。日本人捕虜主役の映画は観たことがありませんでした。
アマプラで配信になったのを機にようやく観ることができましたが、はたし日本のラーゲリムービーはいかに???
『ラーゲリより愛を込めて』スタッフ・キャスト
原作:辺見じゅん『収容所(ラーゲリ)から来た遺書』(文春文庫刊)
監督:瀬々敬久
脚本:林民夫
キャスト:二宮和也/北川景子/松坂桃李/中島健人/寺尾聰/桐谷健太/安田顕/奥野瑛太/金井勇太/中島歩 他
『ラーゲリより愛を込めて』あらすじは?
あらすじはMOVIE WALKERより転載しますね。
第二次世界大戦が終戦を迎えた1945年、シベリアの強制収容所であるラーゲリでは山本幡男をはじめ60万人を超える日本人が捕虜として収容されていた。山本は日本で待つ妻と子どもたちのもとに帰るという強い希望を持ち、帰国できる日を待ち続け、マイナス40度という極寒のなか希望を失っていく仲間たちを励まし続ける。しかし徐々に近づく帰国の日を前に、山本の体は病に侵されてしまう。
果たして、山本は帰国できるのか?仲間たちは??そして山本の帰国を心待ちにする妻と子供達の心境は??
といった筋立てです。
『ラーゲリより愛を込めて』結末は?(ネタバレありです閲覧注意)
以下はネタバレとなりますので、映画を観たい方はスルーしてくださいね。
病に冒された山本は異国の地で命を落とす。
しかし、山本のしたためた手紙を、収容所の仲間たちが手にいれ、日本に戻っているであろう山本の妻に届けることを誓う。
しかしその手紙は収容所のロシア軍人に取り上げられてしまう。
手紙は、山本の気持ちは妻には届かないのか?
日本に帰国した仲間たちは、山本由紀子の妻の元を一人、また一人と訪ねる。
なんと、手紙を3人の仲間がそれぞれ分割暗記し、妻に話して聞かせるのだ。
妻が異国に散った山本の思いを受け止めて、幕は降ります。
『ラーゲリより愛を込めて』感想は…残念。酷評ばかりでごめんなさい。
映像・美術の薄っぺらさ
あらすじ〜結末にも書きましたが、内容自体は、とても納得のいく内容です。
しかし、、、冒頭オープニングの映像からぼくはダメでした。
「え??ちょっとまってくれ、、、ずいぶんと綺麗な映像だな、、、時代は太平洋戦争末期なはずだよな、、、」これがぼくの『ラーゲリより愛を込めて』第一印象でした。
そう、映像にリアリティが全くありません。まるでテレビのイマドキドラマを見ているかのような、みょうに明るい綺麗さに、場違い感が…。
美術デザイン、当時のことを勉強したんだろうか?、残念なことに、正直、そう思いました。
セリフのベタさ加減に呆れる
そして冒頭オープニングから数分、二宮和也と北川景子から次々発せられるセリフのベタさ加減に、頭を抱えました。
二宮和也と北川景子が演じているのは日本兵だったり、その妻だったりするわけですが、そのセリフが陳腐を絵に描いたようなクサさです。
どういうことかというと、映画を観ていて「まさか、次に、○○○○○ってセリフを言うんじゃないよな?」と思っちゃう。そして、その通りのセリフが役者から発せらてしまう…のです。
シロウトが思いつくセリフがスクリーンから発せられ続けるなんて、もう、ついていけません。
いえね、山本一等兵を演じる二宮和也初め、北川景子ら俳優陣は一生懸命やってます。しっかり役者としての仕事、してますよ。
しかし、だからこそ、懸命に演じる彼らに、あんな「客でも思いつくようなセリフ」を喋らせちゃ、ダメなんです。
脚本家と監督は本心でこの演出をしたのでしょうか?
スポンサーサイドから「こうやってよね」「このセリフは絶対入れてねぇ」なんて口挟まれてぐだぐだになっちゃったのかな、、、と、勘ぐっちゃうほど、ベタベタすぎました。
ぼくや観客=いわゆる映画作りには遠い立場のヒト=が思いつくようなセリフを俳優さんに言わせちゃあ、そりゃ俳優さんに失礼というものでしょう。
内容は決して悪くない…発見もありました
いえ、内容、ストーリー自体をけなしているのではありませんよ。
内容自体は実話ですから、それは人様に訴えるものをしっかりと持っていました。
事実は何よりも重いです。映画の伝えたいこと=戦争のひどさはきちんと伝わってきたと思います。
収容所から帰国できたのが、終戦からずいぶん歳月が過ぎてからだった(!)という事実にも、遅ればせながら知り、驚きました。
期待していた映画ゆえの残念さ
だからこそ、ですよ、素晴らしい素材ゆえに、冒頭から最後まで粘着質の素人的セリフオンパレードには閉口した僕でした。
テレビドラマならスポンサーがお金払ってますから、ベタセリフオンパレードでも百歩譲ってよしとします。
が、映画は観客がお金を払って観る。客に対してベタはあかんでしょう。
『ラーゲリより愛を込めて』ぼくの評価は?
以上、というわけで、ぼく的には、超辛口の評価。点数をつけるのも悲しい映画でした。
実は観るまで、ぼく、めちゃくちゃ「いい映画に違いない」と期待していたのです、、、。
あまりに寂しいので、『ラーゲリより愛を込めて』レビューはこれでオシマイとします。
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