1984年公開のアメリカ映画『ストリート・オブ・ファイヤー』。1980年代、多彩な音楽がサントラにフューチャーされた映画が多数作られましたが、その中でも最もロックンロールスピリッツに溢れた映画でしょう。
監督は名匠ウォルター・ヒル。出演はマイケル・パレ、ダイアン・レイン、リック・モラニス、ウィレム・デフォー、エイミー・マディガン。2018年には、デジタルリマスター版公開でリバイバル公開されました。
アクション&音楽が切れ味鋭く、新たな地平を切り開いた伝説的映画の魅力をレビューします
『ストリート・オブ・ファイヤー』主題歌クリップ
『ストリート・オブ・ファイヤー』といえば、真っ先に思い出すのは、この歌でしょう。主題歌「TONIGHT IS WHAT IT MEANS TO BE YOUNG」は映画音楽の殿堂入りと言っていい名曲です。
公開当時、一世を風靡し、日本でも椎名恵が「今夜はエンジェル」タイトルで歌い、ヒットしました。
映画のクライマックスで、ダイアン・レイン扮するエレンエイムが歌いますが、実はこの声は、二人の女性ボーカルをミキシングして作られた歌声だったそうです。
ムービークリップは映画エンディングです。ネタバレでもあるので閲覧注意ですけど、今となっては殿堂入りムービーだと思いますから、ネタバレうんぬんさておいてご覧ください。
『ストリート・オブ・ファイヤー』あらすじは?
舞台は、アメリカのどこか架空の街。
人気ロックシンガー、エレン・エイム(ダイアン・レイン)は、地元での凱旋ライブ中にストリートギャング「ボンバーズ」に拉致される。
エレン救出の依頼の手紙が、一人の男の元に舞い込む。エレンのかつての恋人、一匹狼のワルで名を馳せたトム・コーディだ。
トムは陸軍上がりの女性兵士マッコイと共にボンバーズのアジトに乗り込み、エレンを救い出す。
トムと奪取されたボンバーズのボス、レイヴン(ウィレム・デフォー)は一対一の決着をつけるべく、夜のストリートでトムと向かい合う。
戦う武器はハンマー。散る火花。
はたして2人の決着は?
そんなあらすじです。
ストーリーは超絶シンプル! だから面白い!
『ストリート・オブ・ファイヤー』感想レビュー
映画史上に燦然と輝くオープニングシーン
オープニングは、ひとこと、「カッコええってこういうことだ」に尽きます。
冒頭、「ロックンロールフェイブル」「いつか、どこかで」というスーパーインポーズが効いてます。
そして、ライブハウスに向かう街の人々、舞台の裏方、ダイナーのマダム…短いカットの繋ぎ合わせが、テンポの良いドラムスのリズムで畳みかけられ、ロックンロールナイトへのテンションを高めます。
間髪おかずに、ステージ裏方照明技師の電源レバーを入れる手元のアップが交差し、ダイアン・レイン扮するエレン・エイム・オン・ステージに繋がっていく編集は、それは見事というほかありません。
ぜひ、オープニングの素晴らしさを、観て、感じて欲しいです。
この数十秒のシーンは、ぼくの観てきた映画の中で、ダントツキング。『ストリート・オブ・ファイヤー』のオープニングワクワク感を凌ぐ映画は、いまだかつてありません。
そのカットの連続を観るだけでも、価値があります。そこまで言い切っちゃいます。
「掴みはオッケー」の傑作スタートシーンは、アカデミー賞に「オープニング賞」なんてあったら、間違いなくゴールドメダル。映画史に刻まれること間違いなしでしょう。
そんな映画を撮った監督は、アクション映画の巨匠、ウォルター・ヒル。
「映画界のブルース・スプリングスティーン」と訳のわからない比喩まで使いたくなってしまいます。(ちなみにウォルター・ヒルはエイリアンシリーズのプロデューサーでもあります)
「ロック」と「バイク」と「ストリート」
1980年代、「ロック」と「バイク」と「ストリート」といえば、当時の若者にとって三種の神器的アイテムでもありました。
そしてそんな1980年代、映画界では「フットルース」や「愛と青春の旅立ち」「フラッシュダンス」といった、ビートの効いた音楽をサントラにフューチャーした映画が多数作られました。
その中で、最もロックンロールスピリッツにあふれた映画が『ストリート・オブ・ファイヤー』。
音楽はウォルター・ヒルと相性バッチリのライクーダーが担当。
全編通して「ロックンロールフェイブル」スピリッツを高めています。
そして登場するワルたちのアイテムが「バイク」です。
さらには映画のほとんどが、夜の「ストリート」とくれば、当時、観客をつかむ舞台設定は満点パーフェクトなのでした。
名優ウィレム・デフォーの悪役デビュー
主役マイケル・パレとダイアン・レインももちろんヨイのですが、それ以上に光っているのが悪役レイヴンを演じたウィレム・デフォーです。
ウィレム・デフォーはこの映画で大ブレイク。その後『プラトーン』や『ミシシッピ・バーニング』『ジョン・ウィック』と息の長い名優の仲間入りをします。
ウィレム・デフォー演ずる、絵に描いたように憎々しいワル・レイヴンキャラは見ものですよ。主役をぱっくり食ってます。彼の出世作となったのもうなずけます。
エンディングのかっこよさ
『ストリート・オブ・ファイヤー』は、オープニング同様エンディングがまたカッコ良すぎます。
メインタイトル「TONIGHT IS WHAT IT MEANS TO BE YOUNG」の曲に合わせて、エンディングを綺麗に締め括るのですが、ただのハッピーエンドに終わらせない演出がハードボイルドでたまりません。
「かっこいい』ってこういうことだよなあ」と思うぼくでした。
『ストリートオブファイヤー』ぼくの評価は?
満点です。
観た当時も、DVD購入した時も、観るたびに「カッコええ」って思いますし、2018年リバイバル公開の時は、オープニングで涙がぼろぼろ溢れてきました。
ぼくはその涙に戸惑い、思いました。「なんで泣いてんだ?俺?」
映画が終わって、なぜ泣けてしまったのかがわかりました。
その涙は、「こんなにも素敵な映画を観せてくれてありがとう」という感謝の涙だったのです。
ということで「ムービーダイアリーズ」映画の殿堂入り♩決定です。
『ストリート・オブ・ファイヤー』キャストのこと
ぼくが主役のダイアン・レインを初めて映画で見たのは、『リトルロマンス』です。
その映画では少女の役でした。
そしていきなり次が『ストリート・オブ・ファイヤー』です。艶っぽさも十二分に出しているエレン・エイム役に最初は『リトルロマンス』の女の子役とは分からなかったのを覚えています。
また、『ターミネーター』や『エイリアン2』、『タイタニック』といったジェームズキャメロンムービーの常連俳優ビル・パクストンも脇役で出ています。
ビル・パクストンって、映画の中に見つけると「みっけ!」と、妙に嬉しくなる不思議な俳優さんです。『ストリート・オブ・ファイヤー』そんな脇役探しも楽しい映画だと思います。
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